フォーカス

フォーカス “Focus”

監督:グレン・フィカーラ、ジョン・レクア

出演:ウィル・スミス、マーゴット・ロビー、ロドリゴ・サントロ、
   ジェラルド・マクレイニー、B・D・ウォン、アドリアン・マルティネス、
   ロバート・テイラー、ブレナン・ブラウン

評価:★★




 詐欺師を主人公にした映画は大変だ。詐欺師が騙すのは獲物だけではない。映画の観客も騙さなければならない。物語の見方をひっくり返してしまう大仕掛けが予め求められる。つまりはハードルは最初から高い。意地悪な観客は騙されまいと目を凝らし、そのからくりを見破ることに全力を注ぐ。健全な見方だとは思わないものの、まあ仕方ない。ウィル・スミスが天才詐欺師を演じる『フォーカス』はその点、どうもすっきりしない。

 いや、面白い場面がないわけではない。例えば、アメフトの祭典に沸くニューオーリンズを舞台に展開する前半は快調だ。スリの手口を皮切りに、視線の誘導や色仕掛け等、獲物を軽やかに騙す技が次々キマる。個人戦ではなく団体戦、それも二、三人どころではない、何十人もの詐欺師が一斉に動く作戦が展開され、それはもうひとつの「スパイ大作戦」の様相。明るい太陽の下、大勢の通行人が道行く中、悪びれることのない詐欺の花の狂乱の画。

 ところが、後半勢いが削がれる。ブエノスアイレスの富豪を巻き込んだ詐欺作戦は少数精鋭のそれに代わり、一流の手口云々よりも別のところに力点を置いた、ファッションとしての詐欺に変貌を遂げるのだ。別のところとは男と女の駆け引き、それも大人の男と女の駆け引きだ。スミスと弟子のマーゴット・ロビーが詐欺云々そっちのけで互いの腹の内を探り合う。

 気怠い音楽。鳴り響くトランペット。照明に凝った撮影。意味深なセリフ。スタイリッシュな衣装。アルコールと金。スミスとロビーが惹かれ合いながらも、それに溺れまいと心への抵抗を試みる。その画をファッショナブルに魅せることに全力が注がれ、それゆえ物語の速度が落ちる。盗むのは君のハート…なんて馬鹿なキャッチコピーがつけられそうな安さも浮上する。

 そちらに気を取られるがゆえなのだろう、騙しの手口はそれほど克明に記されない。それだけでも不満なのに、いよいよ最後に明かされる一発逆転の「ネタ」が血生臭いものになる。この「ネタ」を評価するべきではないのは、「驚き」はあっても「快感」は皆無だからだ。血を甘く見てはいけない。粘着性を具えたその液体が画面を満たすと、魔法は瞬く間に効力を失い、現実だけが虚しくのしかかる。

 久しぶりに主演作を引っ提げるスミスがめっきり老け込んだように見えるのは、中途半端なヘアスタイルだけが原因ではない。相手役のロビーが予想以上に伸び伸びと輝くため、クールを目指した佇まいがかえって古臭く映るからだ。

 そう、ロビーが良い。まだ、20代前半という若さ。カジュアルなスタイルもフォーマルなスタイルも自在に操る柔軟性。基本は意地悪顔なのに、ピュアなものを滲ませる表情。深刻になり過ぎることなく適度な軽さを演技に滑り込ませる技。有無を言わさず男を惹きつけるフェロモン。場面によってはスミスを軽々喰っている。そう言えばハリウッドは、(悪女もハマる)セクシーなブロンド美女のポジションがずっと空白のままだ。作品次第で、ロビーはそこに入り込むかもしれない。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ