スケルトン・ツインズ 幸せな人生のはじめ方

スケルトン・ツインズ 幸せな人生のはじめ方 “The Skeleton Twins”

監督:クレイグ・ジョンソン

出演:クリステン・ウィグ、ビル・ヘイダー、ルーク・ウィルソン、
   タイ・バーレル、ボイド・ホルブルック、ジョアンナ・グリーソン、
   キャスリーン・ローズ・パーキンス、アドリアーニ・レノックス

評価:★★★




 コメディを得意とする俳優たちの目が、何か思いつめているようで怖く感じられることは少なくない。誰かに愛されたいという思いの強さが原因のような気がするものの、まあ、それは推測に過ぎない。最近ならジム・キャリー、スティーヴ・カレル、ベン・スティラーあたりが、その代表だ。そして、だからこそ彼らは、謎めいた翳りを帯びた役柄を演じたとき、思いの外ダークでドラマティックなニュアンスを醸し出して面白くなる。『スケルトン・ツインズ 幸せな人生のはじめ方』ではクリステン・ウィグとビル・ヘイダーが双子の姉弟に扮して、複雑な心の宇宙を描き出す。

 ゲイであるヘイダーの自殺未遂から始まる物語は暗い。ウィグだってほとんど同じ時期に自殺を試みようとしていたのだ。長い間疎遠だった彼らが事件をきっかけに再会し、再び人生に仄かな光を灯す。ただし、簡単ではない。だってそうだろう。理解あるウィグの夫。ウィグと関係を持つスキューバダイヴィングのインストラクター。ヘイダーと関係を持っていた元英語教師。父の死後、彼らを捨てた母。ふたりの関係だけでも厄介なのに、問題を運ぶ人物の登場が途切れない。

 ヘイダーとウィグは深刻な問題に衝突しながらも、そこかしこにあるその泥濘に足を取られない。抜け出せない迷路に迷い込んでしまった苦悩を目周りに滲ませながらも、必要以上にそれを己の身体に落とし込むことがない。これは重要だ。深入りが過ぎると、キャラクターが動けなくなってしまう。どこかから自分を冷めた目で眺めている不思議なニュアンスをふたりの演技から感じる。それゆえのユーモアも忘れてはいけない。

 しかも彼らは双子だ。双子ならではの近過ぎる関係性は、良くもあるし悪くもある。相手のことが分かり過ぎる分、言葉は時に直接的になり、傷つけ合うことは容易い。それでいて、雁字搦めになり息もできなくなったとき、誰よりも先もそれに気づくこともできる。ウィグとヘイダーが作り出す姉弟の距離感は、そのデリケートな部分を生きたものにしている。

 自分を良く見せたいというエゴが少ないのだろう、表情や動きの作り方も多彩になるふたり。例えば懐かしの「Nothing's Gonna Stop Us Now」に乗せて踊る場面、或いはハロウィンのダンスパーティに出かける場面。笑顔の奥に見える暗がりに胸を締めつけられる。

 終幕、姉弟の間に横たわる、大き過ぎる溝の正体が明らかになる。自分のことだけでも精一杯なのに、片割れのことも頭から離れない難しさよ。もはや笑うしかないというところまでは振り切れない。しかし、振り切れないがゆえのユーモアが、ここにはある。人生の喜劇性がウィグとヘイダーの眼差しから優しく伝わる映画だ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ