ラスト5イヤーズ

ラスト5イヤーズ “The Last Five Years”

監督:リチャード・ラグラヴェネーズ

出演:アンナ・ケンドリック、ジェレミー・ジョーダン

評価:★




 男は小説家志望。女は女優志望。夢を叶えようと奮闘するニューヨーク・カップルの5年間を描く物語は、いたって単純だ。片方が成功し、片方が落ちぶれる「スタア誕生」(37年)式の展開も目新しくない。オフブロードウェイ劇から映画へと翻訳されるほどの魅力はどこにあるのか。『ラスト5イヤーズ』は見せ方にポイントがある、ということらしい。

 ことらしい、というのは、そういう構成を選ぶ意味がさっぱり分からないからだ。物語はいきなり、男にアパートから出て行かれた女の場面から始まり、と思ったらふたりが仲良く愛を語らう幸せ場面へと飛ぶ。この映画、カップルの5年をシャッフルして描くのだ。法則はない。次から次へと時制が飛び、幸せと不幸せの波が交互に押し寄せる。

 しかもこれ、ミュージカルだ。セリフは極僅か。ほとんど全てが楽曲の中で語られる。したがって、恋愛という身近なものが大袈裟に高らかに、そしていつしか押しつけがましく歌い上げられるのは、ある意味必然だ。しかし、その苦痛たるや…。

 楽曲で押し捲るという「ムーラン・ルージュ」(01年)式抑揚のなさが致命的だ。最初ダンスが出てこないのを不満に思ったものの、いやいや、あっさり撤回する。これでダンスまで出てきたら、拷問に近いくどさになっていたと思われる。それでなくともジェレミー・ジョーダンとアンナ・ケンドリックの歌声にノレないのだ。

 断っておくと、ふたりとも歌唱力はある。舞台で鍛えただけのことはある。けれど、自己主張と自己愛の強いメロディと歌詞に歌声を乗せると、その巧さがかえって癇に障るのだ。ジョーダンの歌声は暑苦しく、ケンドリックの歌声は高音が脳天に突き刺さるよう。別に命を懸けた場面でもないのに、力の入り方が尋常じゃなく、圧迫感しか生み出さない。

 ふと思ったのは、カジュアルなストーリーはミュージカル映画に不向きなのではないかということだ。ある意味非現実的な舞台空間では働くのかもしれないマジックが、映画という現実をそのまま見せる空間では空転する。肩の力の抜けた衣装は気が抜けて見え、突然歌い出す手法は違和感の根源となる。それを承知の上で解決策を練らないと、まるで予算不足の学生映画みたいではないか。浮気男と身勝手女の結末に、虚しさだけが残る。





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