シンデレラ

シンデレラ “Cinderella”

監督:ケネス・ブラナー

出演:リリー・ジェームズ、ケイト・ブランシェット、リチャード・マッデン、
   ステラン・スカルスガルド、ノンソー・アノジー、ソフィー・マクシェラ、
   ホリデイ・グレインジャー、デレク・ジャコビ、ベン・チャップリン、
   ヘイリー・アトウェル、ヘレナ・ボナム=カーター

評価:★★★★




 誰もが知る『シンデレラ』の21世紀ヴァージョンで何より目を見張るのは、水色の持つパワーだ。シンデレラのイメージカラーは水色。それもそのはず、彼女は大抵水色の服で通す。薄汚れた普段の水色の服でも可愛らしいものの、舞踏会場面、魔法をかけられたときの水色ドレスが素晴らしく綺麗だ。水色は水色でも、シアン(或いはセルリアンブルーに近いか)。清楚でありながら、躍動感もたっぷり。王道のプリンセスドレスを手掛けたのはサンディ・パウエル。さすがのお仕事。

 ただ、水色を着こなすのは案外難しい。袖を通す本人に別の色がついていると、途端に水色が淀む。その難題を優雅にクリアしたリリー・ジェームズ、ズバリ適役。美しいブロンド。仄かにピンクの注す頬。リリー・コリンズより洗練された太い眉。張っていながら丸味のある優しいエラ。表情豊かな眼差し。そして、これ以上ないくらい細く絞ったウエスト。ここまで細いウエストは「エイジ・オブ・イノセンス 汚れた情事」(93年)のときのウィノナ・ライダー以来ではないか。

 衣装と配役により、シンデレラが仕上がり完璧。彼女を起点に想像力が広がる。シンデレラにおいて、多くの人が思い描く重要イメージが、何ともまあロマンティックに描き出されていく。例えば、かぼちゃが馬車に化ける場面。或いは、真夜中過ぎ、魔法が消えかけたシンデレラが、鐘が鳴る中階段を駆け下りる場面。けれど、それ以上にイメージの花が咲き乱れる場面がある。あまりに優美な舞踏会場面だ。

 水色のプリンセスドレスをまとったシンデレラ=ジェームズが美しいの何の。ボリュームたっぷりに結い上げられたブロンドが、意志的な眉や目が、こぼれる笑顔が、魔法の存在を確信させる。シンデレラのドレスの裾がふわりと広がる度に、この世の楽園に迷い込んだ気分だ。いつまでも記憶に残る舞踏会場面を持つ映画は多いけれど、これもまたそのひとつに数えて良い。

 何度も繰り返される言葉がある。「Have courage and be kind.」。「勇気と優しさを忘れないで」という母の言葉だ。いかにもディズニー的なこの言葉は、世知辛い世の中に生きる大人にはむず痒く感じられるかもしれない。それを沈めて受け入れたくなる魔法がかかった画が連続。ディズニーが正しくディズニーであることを証明する。

 監督はウィリアム・シェイクスピア狂いのケネス・ブラナーだ。「マイティ・ソー」(11年)を手掛けたときも驚いたけれど(神の国の人物関係が、若干シェイクスピア的だった)、今回は完全に己の色を消し去り、お伽噺に自分を捧げている。新解釈という名の捻りを加え過ぎて自爆するお伽噺が大半の昨今、オールドファッションの良さを追求したのが正解だ(例えば、継母の装飾も最小限にして効率的。ケイト・ブランシェットはもちろん良い)。古典が古典である理由をブラナーは見逃さない。それゆえのシンデレラが21世紀を水色に染める。不満と言えば、王子役のリチャード・マッデン(角度によって、若き日のブラッド・ピットを思わせる)の髪型と白タイツぐらいだ。





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