あの日の声を探して

あの日の声を探して “The Search”

監督:ミシェル・アザナヴィシウス

出演:ベレニス・ベジョ、アネット・ベニング、マクシム・エメリヤノフ、
   アブドゥル・カリム・マムツィエフ、ズフラ・ドゥイシュヴィリ、
   レラ・バガカシュヴィリ、ユーリー・ツリーロ

評価:★★




 口の利けない9歳の少年が出てくる。『あの日の声を探して』は第二次チェチェン紛争が背景にあり、両親が殺されるところを目撃した少年は、ショックのあまり声を失ってしまうのだ。少年はしかし、その表情で言わんとすることを丁寧に伝える。監督は「アーティスト」(11年)のミシェル・アザナヴィシウス。言葉より人の顔(或いは身体)に関心があるようだ。

 アザナヴィシウスは大きく分けて三つの視点から紛争を見つめる。ひとつは家族を失ったチェチェン少年の視点。それから少年を保護することになるEU勤務の女の視点。最後に強制的に兵士にさせられるロシア青年の視点。いずれも斬り口が異なる。

 少年の物語は完全にメロドラマだ。両親との別れからしてドラマティックだけれど、その後弟を泣く泣く他人の家の前に置き去りにする件、実は生きていた姉が弟たちを捜して彷徨う件、互いに近くにいながらすれ違う件、少年とEU女が心を通わせていく件。表情をそれほど変えないままに胸の内を語る少年が素晴らしい。アブドゥル・カリム・マムツィエフという名のこの少年に大人たちが次々喰われていくのに笑いながら、しかし彼が表現する切ない感情についホロリ。

 女の視点は勤めているところがそれなので堅苦しい。ベレニス・ベジョが演じる彼女の役割は、平和活動の末端にいる者たちの苦労と、上でポーズだけキメる者たちの無関心を見せることだ。説教臭さが苦しい。

 青年のパートはドキュメンタリー調だ。ロシア側の無情な行為の裏側にある負のスパイラルを生々しく見せる。昨今の戦争映画ではこのアプローチが多い。政治的な公平性を守っているように見せ掛けながら、アザナヴィシウスは明らかにロシアに痛烈な怒りを感じている。

 メロドラマと説教と戦争の現実を無理に合わせて見せる試みがしっくり来ない。物語を引っ張るのは少年、もっと言うなら少年の涙で、不幸に立ち向かうその健気さは確かに強力な吸引力を具えている。それならば少年の視点に絞ったメロドラマとして割り切るべきではなかったか。少年が話し始めるきっかけや少年と女の素っ気ない関係の変化等、もっと描き込める部分は少なくない。まあ、少年の涙に寄り掛かる演出は、全く好みではないのだけど…。





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