恋するふたりの文学講座

恋するふたりの文学講座 “Liberal Arts”

監督・出演:ジョシュ・ラドナー

出演:エリザベス・オルセン、リチャード・ジェンキンス、アリソン・ジャニー、
   ジョン・マガロ、エリザベス・リーサー、ケイト・バートン
   ロバート・デシデリオ、ザック・エフロン、クリステン・ブッシュ、
   アリ・アン、グレッグ・エデルマン

評価:★★★




 ジョシュ・ラドナーは「ハッピーサンキューモアプリーズ」(11年)でも大人になり切れない男を演じていた。ずっと自分について考え続けているのだろうか。まあ、彼の場合、答えのない答えに考えを巡らせても深刻にならないのが良い。『恋するふたりの文学講座』は軽やかなコメディだ。大学のキャンパスに何本も立っている木々と同じ、グリーンのイメージがある。

 ラドナーはニューヨーク在住の35歳の中年男だ。その彼が大学の恩師の退職記念のスピーチを頼まれてオハイオの田舎に戻る。そこで出会う人々の交流が自分探しに繋がっていく。まあ、目新しい内容ではない。最近なら「草食男子の落とし方」(09年)が全く同じ筋立てだ。

 ラドナーが出会う人々が皆、しっかりとした輪郭を持って描かれる。退職を決めたものの、心のどこかで受け入れられないリチャード・ジェンキンス。自由奔放、進歩的でありながら、今時の19歳の少女の顔も持つエリザベス・オルセン。成績優秀でも、人生の迷路に迷い込んでいるジョン・マガロ。長い教職生活の末に、ある達観の境地に達するアリソン・ジャニー。彼らのアンサンブルから郷愁が品良く漂う。物寂しくも、心地良い空気だ。

 と言っても、この映画は過去を美化することを良しとしない。時間の流れにまつわる、それぞれの世代が持つ普遍的な苦悩をシヴィアに見つめ、それに打ちのめされることはあっても生きていかなくてはならないという現実を恐れない。後半「こんなに哀しい夜は初めてだ」というセリフを、ふたりの人間が口にする。年齢や大人という概念の曖昧さを突く。

 …ということを大袈裟ではなく、気の置けない友と酒を呑みながら話すように語りかけるところが魅力だ。ラドナーとオルセンの歳の差カップルの瑞々しさや、CD交換や手紙のやり取り等の古風な味、現実的に存在する世代間ギャップの溝の深さが、煩くない程度に物語を撫でていく。人生は簡単でなくとも難し過ぎることもないと肩を叩かれているようだ。「トワイライト」の本や避けては通れないセックスが、ラドナーとオルセンの足元をぐらつかせる。

 理想と現実。理性と本能。若さと老い。憧憬と軽蔑。勤勉と怠惰。様々な価値観が小さな衝突を繰り返す。大抵の人が気にしない衝突。でもそれはあるとき前触れなく、頭から離れなくなる。ラドナーはきっと今、この状態なのだろう。寄り道した先で新しいものを手にするのは、もうすぐのことだ。





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