グッド・ライ いちばん優しい嘘

グッド・ライ いちばん優しい嘘 “The Good Lie”

監督:フィリップ・ファラルドー

出演:アーノルド・オーチェン、ゲール・ドゥエイニー、エマニュエル・ジャル、
   リース・ウィザースプーン、コリー・ストール

評価:★★




 エンドクレジットが流れる直前のテロップで、南スーダン難民への支援が呼び掛けられる。なるほど納得だ。『グッド・ライ いちばん優しい嘘』は物語云々、登場人物云々は、さほど重要ではない。現実世界で何が起こっているかを訴え、かつ啓蒙することが、第一目的ではないか。道徳の授業でも受けている気分。

 それならば冒頭、たっぷり30分かけて描かれるスーダン、いやアフリカの多くで起こった厳しい現実に焦点を絞れば良いだろう。それだけの力を持ったエピソードが次々出てくる。突然襲い来る兵士。ヘリコプターからの銃弾。残らず命を落とす大人たち。死んだふりが功を奏する窮地。子どもたちだけの大陸大移動。チーターの獲物の横取り。尿による水分補給。死体が流れる川の横断。星空の下での野宿。引き離される兄弟。

 辿り着くケニアの国境での難民キャンプは、それこそドラマもサスペンスもあるだろうに、主人公グループがそこで過ごす13年という年月はさらりと飛ばされ、後は難民支援政策によりアメリカに渡ってからの話がメインになる。そしてそこから話を転がすのが紋切り型のカルチャーギャップというのが、何だかなー。

 先進国アメリカの大地で強調されるのは融通の利かないお役所仕事と青年になった彼らに手を差し伸べる人々の善意だ。スーダン青年たちはそれに揉まれ包まれ、どん底から這い上がろうとする。大変立派だけれど、さほど胸に迫らないのは、、彼らを動かす作り手の立ち位置に違和感を感じるからか。 

 たった少しの意識の変化や助力が世界を変えると信じる姿勢。それを裏打ちするものが“善意”だけ処理されている。職業紹介所に勤めるリース・ウィザースプーン(濱田マリ化)はあっさり情に絆され、コリー・ストール演じる上司は最初から善意の塊。移民局関係者もセリフが二つ、三つではない人物は物分かりが良いの何の。いつの間にか、アメリカってこんなに良い国、とアピールされている気配。

 その流れが変わらないからだろう。タイトルにある“優しい嘘”が白々しく見える。本当にそれは良い嘘なのか、正論というつまらないもので判断する余地しか与えられない。アメリカという国で感じる疎外感や自分たちだけが国を抜け出す罪悪感。まだまだ描き込むべきものはたっぷりある。





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