プールサイド・デイズ

プールサイド・デイズ “The Way, Way Back”

監督・出演:ナット・ファクソン

出演:リアム・ジェームズ、サム・ロックウェル、スティーヴ・カレル、
   トニ・コレット、アナソフィア・ロブ、アリソン・ジャニー、
   マヤ・ルドルフ、ロブ・コードリー、アマンダ・ピート、
   リヴァー・アレクサンダー、ゾーイ・レヴィン、ジム・ラッシュ

評価:★★★




 主人公である14歳の少年ダンカンがアルバイトをするプールには巨大な滑り台がある。高所からプールに向かい曲がりくねって伸びるチューブ。それは少年の抱えるもやもやの別の姿だ。今自分は人生のどこにいてどうやって立っているのか、さっぱり分からない。出口はどこにあるのだろう。

 『プールサイド・デイズ』は所謂「ひと夏の成長」映画だ。思春期真っ只中。身体は急激に変化。悩みはてんこ盛り。妄想は花盛り。そういうどこにでもいる少年(少し前ならローガン・ラーマンが演じていただろう)が、夏休み、いつもとは違う経験をすることにより、劇的な内面変化を遂げる。古今東西、創られてきた定番ジャンル。アルバイト先の人間関係が物を言うという点を考えると、「アドベンチャーランドへようこそ」(09年)にイメージが近いか。

 別荘にやってきたダンカンの世界には今、激しい対立がある。母の新しい恋人を中心にした居心地の悪い空間と、全てが新鮮なアルバイト先の人々が生きる空間。同じ空気を吸うのが苦しい人間関係と、伸び伸び自分を曝け出せる人間関係。いたずらに歳を重ねただけに過ぎない大人たちの空間と、経験値が少ないなりに自ら考えている子どもたちの空間。ダンカンは様々な対立に揉まれながら、居場所を見つけていく。この奥底に「どんな人間とも仲良くなるのは所詮無理」と悟る人間観がちらつく。正直だ。

 成長物の定番らしく、人生のメンターとなる存在が出てくる。自分に似た匂いを漂わせる隣の女の子を、現在むちむちのアナソフィア・ロブが演じる。また、少年を尊重しながらも愉快に価値観を壊すプール従業員を、ますます快調サム・ロックウェルが演じる。どちらも、いかにももやもやが晴れない顔をしたリアム・ジェームズ演じるダンカンの心を、ユーモラスに刺激する。

 とりわけロックウェルは見事な存在感だ。でたらめな行動。大袈裟な物言い。矢継ぎ早に繰り出すジョーク。温かなハート。そして、時折ふと覗く影。ダンカンの兄貴のような父のようなポジションに立ちながら、理屈ではない人間の魅力を愉快にふりまく。社会的立場からすれば小物かもしれない人物の「人間の大きさ」を気持ち良く魅せる。

 この映画はだから、成長物の定番である「メンターに対する幻滅」要素が排除される。ロックウェルは少年の恩人として輝き続ける。ロックウェルが少年に見せるものは、結局のところ「世界」というものなのだろう。それは若い命には、見えているようで見えてない。その扉を開く鍵をロックウェルは少年に与える。その目には見えない瞬間が生き生きと丁寧に描かれているからゆえの躍動感が、命だ。

 クライマックスである展開があり、少年とロックウェルがハグをする。これは危険な画だ。汗臭くも、涙臭くも、感傷臭くもなる危険を秘める。それを軽やかにかわし、爽やかな風を吹かせるあたり、描かれる成長の清々しさの証拠だ。カルキの匂いが懐かしく感じられる。





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