ジュピター

ジュピター “Jupiter Ascending”

監督:ラナ・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー

出演:チャニング・テイタム、ミラ・クニス、エディ・レッドメイン、
   ショーン・ビーン、ダグラス・ブース、タペンス・ミドルトン、
   ペ・ドゥナ、ジェームズ・ダーシー、ティム・ピゴット=スミス

評価:★★




 物語だけ眺めるならば、『ジュピター』には「不思議の国のアリス」の匂いがある。平凡な毎日を送る少女が別の世界に迷い込み冒険を繰り広げる。けれどウォシャウスキー姉弟がやりたかったのは、結局のところ新たなる「スター・ウォーズ」(77年)だったのではないか。宇宙を舞台にしたスペースオペラ。たっぷりの視覚効果。次々登場するキャラクター。動物型異星人。ガジェット。宇宙船。近未来色濃厚な美術。もしかしたらはそれは、「遠い昔、遥か彼方の銀河系」に通じているかもしれない。

 ウォシャウスキー姉弟はどうやら、作品の世界観を細部まで考えている。ひょっとしてコミックが原作にあるのではないかと思ったほど。SFにおいては重要な作業だから、これ自体は悪いことではない。けれど、2時間以上の上映時間、セリフのある部分のほとんどが世界観の説明に費やされるのはどうなのか(その割に雑な細部)。ヒロインは飲み込みが早く、瞬く間に状況を理解するものの、観客は見事に置いてけぼり。次々出てくる新しい情報を整理するのに一杯いっぱい。SFアクションの宿命?いや、優れた映画はアクションで魅了しながら、それを説明してしまうものだろう。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(14年)を見よ。

 結果、派手なアクション場面の合間をセリフで繋ぐ歪な外観になるわけだけれど、そのアクションがまた「スター・ウォーズ」的なゲーム要素満載の画に終始しているのが退屈だ。ガジェットや軍機から発射される光線の応酬。視覚効果で固められた背景をいくらビームが横切ろうと、近所のガキンチョの戦争ごっこにしか見えない不幸。

 ただし、例外はある。チャニング・テイタム演じる戦士が装着するフライングブーツが出てくる場面だ。重力に逆らうように空中を飛ぶテイタム。ちょっと筋斗雲のエッセンスを取り込みながら、なおかつその姿がローラースケートで飛ばしているようなのが可笑しいの何の。ほとんど光GENJIなポージング。通った後が束の間光るのも悪くない。テイタムがいつもと感じを変えて、金髪の髭面というのが、輪をかけて可笑しい。このフライングブーツが活躍する序盤、シカゴ上空でのバトルは作中最も盛り上がるところだ。宇宙空間よりもお馴染みのシカゴの空の方が非現実的で愉快に感じられるのが、皮肉だ。

 ヒロイン、ミラ・クニスが魅せるのは結婚式場面だろう。ネルシャツで通す序盤はいかがなものかと思ったものの、後半ようやくSFらしいコスチュームになる。結婚式場面では白いドレスとティアラにラズベリーの花を大量に散りばめ、それに合わせて凝った化粧で登場するクニス。ちょっと前まで地球で清掃員をしていたのに、このギャップ。

 ほとんどダイジェスト版のような趣で終わりを迎える物語。振り返れば、何のことはない。宇宙を舞台にした覇権争い、それも兄姉弟三兄弟の駄々っ子的我がままが原因の覇権争いの物語だ。そう言えば、どこかの国の家具屋さんも親子で見苦しい争いに励んでいた。ウォシャウスキー姉弟、スペースオペラを掲げるには案外スケールが小さいのではないか。





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