イントゥ・ザ・ウッズ

イントゥ・ザ・ウッズ “Into the Woods”

監督:ロブ・マーシャル

出演:エミリー・ブラント、ジェームズ・コーデン、メリル・ストリープ、
   アンナ・ケンドリック、リラ・クロフォード、ダニエル・ハットルストーン、
   マッケンジー・マウジー、ジョニー・デップ、クリス・パイン、
   ビリー・マグヌッセン、クリスティーン・バランスキー、
   ルーシー・パンチ、タミー・ブランチャード、トレイシー・ウルマン

評価:★




 ミュージカル映画は舞台版の翻訳から企画が始まりがちだ。安易に手を出すのはやめた方が良い。いくらステージの上で映える物語や音楽でも、映画にした途端に魔法が消える可能性が高い。それくらい映画と舞台は違う。それからもうひとつ、舞台で名を挙げた人がそのまま映画監督にスイッチするのも厳しいものがある。ロブ・マーシャルのことだ。

 『イントゥ・ザ・ウッズ』は誰もが知るお伽噺のその後を描いた物語らしい。シンデレラ、赤ずきん、ジャック(と豆の木)、ラプンツェルらの物語が交錯。子どもに恵まれないパン屋の夫婦と、彼らに魔法をかけた魔女の物語も新たに投入される。それぞれの物語の登場人物が別の物語の登場人物と繋がっていたり、展開上の重要な役割を別の物語の人物が担っていたり、遊びを散りばめた設定。なのに一向に弾まない。ただ絡ませただけにしか見えない脚本の芸不足もさることながら、マーシャルの演出に厳しいものがある。

 キャストの声が調和しない。セリフよりも歌が多い映画なので、当然歌唱力のあるスターが選ばれる。けれど、それぞれの声質の相性がまるで良くない。魔女役が似合うメリル・ストリープはカラオケ大会の上級者風歌唱、アンナ・ケンドリックはいかにもミュージカル出身女優風に歌い上げ、ジェームズ・コーデンはわざわざ歌唱にユーモアを注ぎ入れ、子役リラ・クロフォードはふてぶてしくも上手さをひけらかす。役柄と同化した歌声だったのはエミリー・ブラントだけだ。そしてマーシャルは彼らの声を同じ画面に溶かすことができない。

 楽曲の問題も多いのだろう。スティーヴン・ソンドハイムは「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」(07年)でも知られる作曲家で、なるほど納得。不穏な旋律から下品さが滲み出る。アンドリュー・ロイド・ウェバーと並んで、感心しない作曲家だ。説明的で煩い詞と曲が次々画面を覆うも、ミュージカルの喜びはほとんど感じられない。

 展開は無駄に暗い。暗く現実を描いた上で、それでもなお人生は素晴らしいという結末に導く流れが乱暴を極める。おそらくオリジナル通りなのだろう、人が命を散らしていくところに理由が見当たらないし、人間の醜い部分を強調したエピソードの数々も不快さしか残さない。それを楽曲で丸く収めようとするだなんて、怠惰も良いところだ。

 ここに出てくるのは、言わばお伽噺の世界のオールスターだ。それぞれへの気遣いがまとまりのなさを生んだとした思えない印象。それを考えると「アベンジャーズ」(13年)は驚異的だった。あれだけの面子を同じ世界観に放り込み、なおかつ絶妙のバランス感覚を維持していた。そう、ここに決定的に足りないのは、バラバラの個性をひとつにするバランスなのだ。





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