わたしの可愛い人 シェリ

わたしの可愛い人 シェリ “Chéri”

監督:スティーヴン・フリアーズ

出演:ミシェル・ファイファー、ルパート・フレンド、キャシー・ベイツ、
   フェリシティ・ジョーンズ、イーベン・ヤイレ、フランシス・トメルティ、
   アニタ・パレンバーグ、ハリエット・ウォルター、ベット・ボーン、
   ゲイ・ブラウン、トム・バーク、ニコラ・マコーリフ、トビー・ケベル

評価:★★★




 とてもシンプルな話である。年上女と年下男が奏でるラヴストーリーなど、どこにでも転がっているだろう。しかしその味わいは、設定ほどに単純ではない。スティーヴン・フリアーズ監督があの手この手の「技」を仕掛けてくるからだ。「技」と言っても「小技」ではない。「大技」とは言わないまでも、実に映画らしい愉快な「技」の数々。それに触れるだけでも、あぁ、なんて気持ちが良い。

 何と言っても、『わたしの可愛い人 シェリ』は画が美しい。時代はベルエポック。もちろん舞台はパリ。ココット(高級娼婦)がちやほやされる、今では考えられない空間。当然のことながら美術や衣装が美しく、特にヒロインが着るシンプルかつリッチなドレスの数々にはため息が出る。帽子の繊細さも注目で、大きな鍔からエレガンスがこぼれ落ちそうだ。素材の滑らかさと軽さもイイ。画面の色合いにも気を遣っていることが分かる。特にブルー系の色の出し方が綺麗で、ヒロインもブルー系のドレスが多い。

 しかもヒロインを演じるのはミシェル・ファイファーだ。「真夏の夜の夢」(99年)は別にして、ファイファーがコスチューム劇を演じるのは「エイジ・オブ・イノセンス 汚れなき情事」(03年)以来だろうか。ゴージャスなドレスに身を包み、背筋をピンと伸ばし、凛とした美しさを発散。ココットだったことに、全く異議なし(若干ハスッパなところがプラスに)。ただし、もっと感心したのはルパート・フレンドの方だ。これまでは美しい顔立ちには違いないものの、存在感が軽いところにもうひとつノレなかったのだけれど、今回はむしろその軽さが良い方に働き、19歳にして「遊び疲れた」と言ってしまう青年に完璧にハマっている。ファイファーとフレンドが一緒の場面は、意外なほど画面に電流が走る。

 面白いのはラヴストーリーと言っても、結ばれるまでが描かれているわけではないことだ。ふたりが一緒になってなってから6年後がメインの話で、いかにして彼らがその恋に決着をつけたかが緩急をつけて描き出されていく。甘やかされることに慣れてしまった年下男とその彼にホンキに恋してしまった女。母親の策略で若い女と結婚することになった男の迷いとどうしても想いを断ち切れない女の未練。大きくせり上がってくるのが、歳の差であり、老いであり、誇りである。舌平目の目を持ち甘え上手のフレンドに対して、イイオンナであり続けるファイファーの胸の内が複雑に浮かび上がる。男が結婚し、女が旅に出ることで離れ離れになっていたふたりの、帰還後の行動は、人間の難しさをよく突いていると思う。男は妻に身体を迫り、女も決して自分からは仕掛けない。

 物語のアクセントにもなっているのがファイファー以外の女たちの醜悪な描かれ方だ。かつてココットだったとは信じ難い容貌。次々飛び出してくる辛辣な言葉。特にキャシー・ベイツがファイファーに繰り出すいやらしさは見もので、ファイファーもそれを承知し、表面上ではなんでもない風に取り繕いながら切り抜けていく。彼女たちは決して怒鳴り合うことなどしないのだ。あくまで傷口に塩を少しずつ塗していく。全盛期のココットの生活風景がほとんど描かれないという不満を、つい忘れそうになる。





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