シェフ 三ツ星フードトラック始めました

シェフ 三ツ星フードトラック始めました “Chef”

監督・出演:ジョン・ファヴロー

出演:ソフィア・ヴェルガラ、エムジェイ・アンソニー、ジョン・レグイザモ、
   スカーレット・ヨハンソン、オリヴァー・プラット、
   ボビー・カナヴェイル、エイミー・セダリス、
   ダスティン・ホフマン、ロバート・ダウニー・ジュニア

評価:★★★




 料理を扱った映画だから当然か。だけれどしかし、出てくる料理がどれもこれも旨そうなのが嬉しい。芸術的かつ官能的な料理人の手つきを調味料に、次々と料理は運ばれ、そして皿は空けられていく。中でもメインフードとして出てくるキューバ発のサンドイッチが最高。パンにナイフを入れる度、口に入る度、カリカリ音を立てるのだ。

 Twitter上での子どもじみた喧嘩をきっかけにレストランを追われた料理人が、フードトラック(屋台という呼称はどうもピンと来ない)を使ったサンドイッチ屋を開店させ、自分の人生を見つめ直すことになる。散々語られてきた定番の物語。新味はない。それでも『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』は不味くない。何故か。

 建設の喜びが大きい。仕事なし、金なし、恋人なしの男が、プライドも捨て去った後、小汚いフードトラックを輝かせていく過程に、物をゼロから作り上げる豊かさがある。もちろんこれはメタファーだ。トラックを隅々掃除し、大切なものを見極め、信念を取り戻し、いちばん欲しいものがある場所へと帰る、人生の縮図。

 その中心にいるジョン・ファヴローが憎めない。口は汚いし、気は短いし、頑固だし、何に対しても誠実とも言えないかもしれない。それだから人前でまんまと醜態を晒す。でも、それでも彼を嫌う人はいない。料理に対する正直さにブレがなく、ある意味、彼は常に周りを気にして生きる(しかない)人にとって、輝ける星だ。

 その彼には友がいる。元妻が声をかける。息子も懐いている。料理にファンもできる。けれど、ベタベタはしない。これはとても重要な点だ。話は所謂人情物で、いくらでも汗臭くも甘ったるくもなる危険を秘める。ファヴローはその滴がかかるや否や、デブな身体を揺らして、遠くへ弾き飛ばす。

 それに彼には味方がいる。自然発生的ダンスを誘うラテンのノリとカラッとしたユーモアの混合体がそれだ。次々出てくるラテン系の人々の大らかさと(とりわけソフィア・ヴェルガラ)、己の窮地を客観的に分析できるがゆえの水分の少ない笑いに、ファヴローは守られる。それがあるがゆえの愛される人間。こういう男は誰だって応援したくなる。

 Twitterが重要な道具として使われる。映画においては危険な道具だ。今の時代を反映しているとは言え、人間関係を軽薄に映しかねない。しかし、ここではむしろそこに体温さえ感じさせる。そして、決して今という時代を悲観することなく、したたかに生き抜く逞しさを感じさせる。やめたレストランの行方、作る料理へのこだわり等中途半端に処理された部分がちっぽけなものに見えてくる。ファヴローは最も大切なものを見誤らなかった。





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