きっと、星のせいじゃない。

きっと、星のせいじゃない。 “The Fault in Our Stars”

監督:ジョシュ・ブーン

出演:シャイリーン・ウッドリー、アンセル・エルゴート、ローラ・ダーン、
   ナット・ウルフ、サム・トラメル、ウィレム・デフォー、
   ロッテ・ファービーク、アナ・デラ・クルス

評価:★★★




 ステージ4の甲状腺ガンの少女と骨肉腫により片足を失った少年。17歳と18歳という病に苦しむ若い命が互いに求め合う物語。まともな人ならこの設定だけで警戒心を働かせる。理由を書くまでもない。感傷と感動をはき違えた思慮の足りない映画は星の数ほどある。『きっと、星のせいじゃない。』をそれらと一緒の棚に並べるのは難しい。泣かせのポイントはもちろんある。けれど、終着点が見え始めた若い命の跳躍が強力で、それを軽々跳び越えてくるからだ。

 武器になるのはもちろん、ユーモアと知性だ。少女も少年も自らが置かれている状況を過剰に嘆くことがない。その代わりに短い人生の中での経験により出来上がった自分を誠実に見つめる。泣き言を言うよりも笑い声を飛ばし、恨み言を呟くよりも未体験の地を積極的に開拓する。広がるのは瑞々しさを湛えた新しい世界だ。

 少女と少年のコンビネーションが良い。とりわけポイントになるのは少年だろう。アンセル・エルゴート演じるオーガスタスは別に、少女漫画に出てくるような王子様タイプではない。いかにも現代っ子な彼は車の運転が下手でゾンビ好き。火はつけないのに煙草をくわえ、飛行機が苦手。しかしいちばんの特徴は自分に正直なところで、シャイリーン・ウッドリー演じるヘイゼルに一目惚れするや否や、愛の剛速球を次々投げ始める。

 オーガスタス独特のユーモアを具えた言葉や行動の数々がヘイゼルへと届けられていくところ、そこに物語の命が宿る。ヘイゼルは戸惑いながらもそれを決して後ろに逸らさない。いつ死ぬか分からない人生、遂に起こった奇跡をふたりが愉快に楽しむところ、それは生きる意味を何よりも雄弁に語る。

 エルゴートの飄々とした佇まいに大いに感心する。ぷっくりした唇はともかく、決して分かりやすいハンサムではない。けれど、言葉に敢えて翳りを注がない偽りないそのセリフ回しは、ラヴストーリーの主人公に相応しい技だ。前半の頼もしさとは異なる表情を見せる後半は、それゆえ生きた。

 もちろんウッドリーは素晴らしい。エルゴートが投げかける言葉を受けて、情感豊かに変わる表情の妙。ウッドリーは良くジェニファー・ローレンスと比較されるけれど、ローレンスほどに直観的な演技者ではない。役柄と自分の距離を冷静に判断し、それを演技に反映させる術が優れている。それゆえにエルゴートの演技とのバランスが上手に取れたのだと思う。

 脚本は「(500)日のサマー」(09年)を手掛けたスコット・ノイスタッターとマイケル・H・ウェバーだという。なるほど納得。若い身体を流れる血のスピードを的確に捉えられるふたりではないか。ウィレム・デフォー演じる気難しい作家にまつわるエピソードはやや空転した感があるものの、最後に届けられる手紙の真相により何とか踏ん張る。ウッドリーの凛とした眼差しとその先にあるだろうエルゴートの笑顔がいつまでも目に残る。





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