人生、サイコー!

人生、サイコー! “Delivery Man”

監督:ケン・スコット

出演:ヴィンス・ヴォーン、クリス・プラット、コビー・スマルダーズ、
   アンドレジェフ・ブルメンフェルド、サイモン・デラニー

評価:★★




 カナダ映画「人生、ブラボー!」(11年)を同じケン・スコット監督がハリウッド・リメイクしたのが『人生、サイコー!』だ。ヴィンス・ヴォーン演じる主人公は大昔、精神バンクにて33日間で693回の精子提供を行い、24,255ドルを手にしたのだという。そして今、知らぬ間に533人の子の父親になっていて、その内の142人から身元開示の裁判を起こされている。何と恐ろしくもバカバカしい設定だろう。どこか現実的に感じられるのが絶妙。ひょっとして実話かと勘繰ったら、あぁ、フィクションだった。ちょいと残念!?

 最近のヴォーンはだらしなく太って気ままな毎日を送る中年男としてキャラクターが出来上がっている。ここでもそのイメージのまま登場。ソファーに寝転がりバターと塩たっぷりのポップコーンを食いながらスポーツ観戦するのが最高の幸せ…に違いない男を、もはや素としか思えない薄過ぎる緊張感の中、演じている。

 スコットはこのヴォーンのイメージの破壊を試みる。観たことのない自分の遺伝子を受け継いだ若者たちに興味を持ち、彼らにいそいそと会いに行くことで、真っ当な人間として生きようと改心するのだ。自らを名乗ることなく、資料片手に「我が子」に会いに行って一喜一憂、その様はほとんどストーカー。コメディかスリラーに相応しい展開なのに、あぁ、やっぱりか、人情ドラマの方に流されていくのが鬱陶しい。

 「我が子」の人生に過剰に踏み込むのを躊躇わず、それどころかその人生の手助けに自己満足を積み重ねていく様が気持ち悪いの何の。子どもたちはヴァラエティに富んでいて、バスケットボールのスター選手や役者志望にジャンキー、同性愛者に路上引き語りアーティスト、障害者まで出てくる。あざとい。こういう分かりやすさに疑問を感じないというのは、いかなる神経か。もちろんこれは笑いの敵。ドラマに寄りかかることで、笑いは湿りに湿る。父親にはなれないが、守護天使にはなれる。勘弁してくれ。

 脚本が拙い。人間関係に踏み込み過ぎるバランス感覚の破綻はもちろん、裁判劇にヴォーン本人を担ぎ出せない流れやクリス・プラット演じる三流弁護士の抵抗、ひとりだけ真実を突き止めた「我が子」との関係の曖昧な処理、妊娠したガールフレンドとの中途半端な関係等、粗は彼方此方にある。そもそも何故ヴォーンは精子を提供しただけの者をそこまで気にかけるのか。

 子どもたちが本当の父を知りたい思う気持ちは分からなくもない。自分のアイデンティティーの源にあるものだからだ。ただし、その深層は探られない。彼らは単純にヴォーンを受け入れる聞き分けの良い人々だ。ヴォーンは情けない男でも他人を惹きつけるものがあるのだという。その魅力の核にあるものを見せない物語が嘘臭く見えても仕方ない。





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