フィフス・エステート 世界から狙われた男

フィフス・エステート 世界から狙われた男 “The Fifth Estate”

監督:ビル・コンドン

出演:ベネディクト・カンバーバッチ、ダニエル・ブリュール、
   ローラ・リニー、スタンリー・トゥッチ、アンソニー・マッキー、
   デヴィッド・シューリス、アリシア・ヴィキャンデル、
   モーリッツ・ブライプトロイ、ダン・スティーヴンス

評価:★★




 コンピュータやらインターネットやら最先端技術のトップを走る人はエゴが強く描かれる傾向にある。「ソーシャル・ネットワーク」(10年)のマーク・ザッカーバーグも「スティーブ・ジョブズ」(13年)のスティーヴ・ジョブズもそうだった。傍らにいる人々は皆、去っていく。『フィフス・エステート 世界から狙われた男』のジュリアン・アサンジもその仲間に加わる。

 アサンジはあのWikiLeaksの創始者だ。WikiLeaksは情報源から提供された政府や企業の機密事項をそのまま公開するウェブサイト。匿名であることがポイントだ。アサンジは世界を変えると言う。実際、世界は揺れる。果たして彼は正義か悪か。ビル・コンドンはその判断を観る者に委ねる。

 ただし、アサンジははっきり嫌な奴として描かれる。自分以外の人間をバカにしながら、情報の暴露や告発に執念を燃やす。それを実現するために他人を蹴落とすことも厭わない。彼が仕事に憑かれていることは分かるものの、何が彼をそこまでかき立てるのかは一向に分からない。秘密への固執は気まぐれに見える。ゆえにジャーナリズムを考えさせる隙ができない。WikiLeaksの矛盾は散々語りつくされた正論で決着する。

 アサンジは「ふたり集まれば、秘密がひとつできる。それが陰謀の始まりだ」という。WikiLeaksがやってのけたことを評価するか否かに繋がる見方のはずなのに、一向にそれが膨らまない不幸。彼らが具体的にどのように情報を入手、そして処理していたのか、まるで伝わらない低温の画面。アクション場面は常にパソコンと睨めっこだ。情報化社会の病理として終わらせるには勿体ない。

 アサンジをベネディクト・カンバーバッチが演じる。全く似ていないのはさておき(額は似ている?)、プラチナブロンドの長髪が似合わないのが辛い。アサンジに似せようとしたのか、口調も歯切れが悪い。TVシリーズ「シャーロック」(10年~)では魅力的だった高圧的な立ち居振る舞いが不快さ以外に何も生み出さない。

 WikiLeaksに振り回される世界を代表してアメリカ政府が出てくる。こちらの動きの方が面白い。ネットを拠点にしたメディアを甘く見た結果、あまりにも痛い代償を払わされるトップたち。その右往左往は一向に正体が見えないアサンジよりもよほど人間臭い。アメリカ側にローラ・リニーがいるのも心強い。その繋がりで後半、WikiLeaksの暴露により命の危険に晒される人々が出てくる。コンピュータ周りにたむろする人々の画とは全く異なる画が広がる。その唐突な挿入は物語から完全に浮き上がる。けれど、彼らをもっと観たい。

 アサンジの右腕としてダニエル・ベルクが出てくる(ダニエル・ブリュールが演じる)。最初アサンジと同調していたベルクは次第に彼のやり方についていけなくなる。つまり彼は良識を主張する。アサンジと対をなす存在となる。この映画はベルクの著書を基にしているのだという。なるほど自らを汚くは描きたくはなかったわけか。面白くないのは原作の罪なのかもしれない。





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