ラブストーリーズ エリナーの愛情

ラブストーリーズ エリナーの愛情 “The Disappearance of Eleanor Rigby: Her”

監督:ネッド・ベンソン

出演:ジェシカ・チャステイン、ジェームズ・マカヴォイ、
   ビル・ヘイダー、ヴィオラ・デイヴィス、ウィリアム・ハート、
   ジェス・ワイクスラー、イザベル・ユペール

評価:★★




 『ラブストーリーズ エリナーの愛情』は「ラブストーリーズ コナーの涙」と夫婦関係にある。幼い我が子を亡くしたことをきっかけに、夫婦関係を続けることが難しくなったコナーとエリナー。「コナーの涙」は夫目線の物語だったのに対し、『エリナーの愛情』は妻目線から綴られる。二度手間、ご苦労。

 おそらく作り手は、見方を変えることにより、こんなにも物事は違って見えると言いたいのだろう。なるほどあら不思議、夫目線では身勝手な女にしか見えなかったエリナーが、ここでは感情移入しやすい魅力的な存在として浮かび上がる。その代わり、コナーは「コナーの涙」以上に情けなく見える。ここでのエリナーは起こった悲劇を彼女なりに受け止め、何とか前に進もうと努力している女だ。コナーはと言うと、表面的には立ち直っているように見えて、実は止まった時間の中でしか生きていない。

 エリナーを演じるジェシカ・チャステインが情感豊かな演技を見せる。赤毛をショートにしたニュースタイルも、時折ふと浮かべる哀しみの表情も、それを必死に封じ込めようとする切ない目も…。元々心の機微と呼ばれる物に対して敏感な人。その立ち居振る舞いに、さすが、説得力がある。

 ひょんなことから受けることになった大学の講義、その教授を務めるヴィオラ・デイヴィスとのやりとりが良い。教授はエリナーが何かを抱えていることを悟りながら、その正体を探らない。エリナーは聞き役に徹しながら、その掛け合いの中に不思議な安らぎを感じる。女は正しく現実的で、気まぐれの中にも現実感が通る。それが作り手の見方だ。

 二部作を通して見ると、エリナーの人間らしさこそが最も愛おしく感じられる。二部作、どちらから観ても良いという触れ込みだけれど、いやいや、これは「コナーの涙」『エリナーの愛情』の順番でないと、感じるものは少ないのではないか。二部作どちらにも目配せがなされているように見えて、念入りに観察すれば、エリナーにより愛情が注がれていることは明白だ。二部作はエリナーのためにある。となると、コナーを主人公にした夫目線の物語を後に観た場合、拍子抜けの可能性はグッと高まる。

 何故二部作でなければならなかったのか、と思う。物事を多角的に見るなんてことは、実は他の作家は、一本の映画を通してやっていることであり、わざわざ二部作するなんてことは、野暮なのではないか。二部作にする試み自体が主役になってしまった不幸を感じるのだ。実はこの二部作を一本にまとめた映画も作られている。それがこの試みの意義を象徴している気がする。





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