フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ “Fifty Shades of Grey”

監督:サム・テイラー=ジョンンソン

出演:ダコタ・ジョンソン、ジェイミー・ドーナン、ルーク・グライムス、
   ヴィクター・ラサック、エロイーズ・マンフォード、
   マルシア・ゲイ・ハーデン、リタ・オラ、マックス・マーティーニ、
   カラム・キース・レニー、ジェニファー・イーリー、ディラン・ニール

評価:★★




 「氷の微笑」(92年)を中心にちょっとしたエロティック・スリラーブームが巻き起こったのは90年代初頭のこと。最近はエロティック・スリラーどころか、俳優の裸を目撃することも少なくなり、あぁ、時代の流れを感じるしかない。そんな今という時代に登場するのが『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』だ。これがこれまでのセックス絡み映画とは違うのは、原作が世界中の女たちから絶大なる支持を受けたらしい点だ。女優の裸を売りにして、男たちの心を捕まえようという気配が全く感じられない。

 もちろんセックスはある。けれど、それは観る側が欲情してしまうほどに扇情的な撮り方ではない。ここでのセックスは、セックスという言葉を借りたファッションだ。男にはSM趣味があり、女はあなた色に染まりますと時代遅れの思考のままにその世界に足を踏み入れる。ポイントは男がSM好きと言っても、紳士性を忘れないところで、手を縛ったり、目隠ししたり、尻をぺんぺんしたり…いかにも怪しい照明の下、ふたりは行為に及ぶのだけれど、何と言うか、本当に合体しているのか疑いたくなるほどに、体温も匂いも感じられない。要するに、夢見る夢子が勘違いした美しいSMが繰り広げられる。

 男も女も裸になる。けれど、呆れて笑うことはできても、ちっとも面白くない。愛するがゆえのまぐわいを追求した結果ではなく、スタイリッシュに魅せることこそを第一目的にした画が並ぶからだ。SMであっても過剰に肉体の痛みを感じさせてはいけない。その時点で女たちは潮が引くように目が覚めるだろう。だから、あくまでファッショナブルに魅せる。物語上のクライマックスは遂に女が男に鞭で打たれる場面だ。そもそもSMを謳う割りに大したプレイはないのだけれど、どうしたいのかはっきりしない女がやっとこさ、答えを出すきっかけにしかならない。

 おそらく原作通りなのだろう。男と女がどちらも昭和を思わせる古臭い設定だ。男は巨大会社の社長でハンサム、身体は鍛えられ、歯の浮くようなセリフを口にしても恥じらわない。女は恋愛経験がなくあどけない顔立ち、男からの愛を一身に集める。もちろん処女。これまでの平坦な人生が一瞬にして変わる夢物語。いや、ホントこんな今どき少女漫画でもないような設定が、よく受けたものだ。出会いの場面なんて、エレヴェーターを降りたところで女が躓き、見上げた先に男が見つめている、なんてバカ設定をいけしゃあしゃあとやってのける。男が「契約書」を出すのも、どう好意的に解釈しようと努力してもままごとにしか見えない。

 女を演じるダコタ・ジョンソンは、なんとドン・ジョンソンとメラニー・グリフィスの娘だ。垢抜けない立ち居振る舞いがまだ磨かれていない原石を思わせて、なるほど役柄には合っているのかもしれない。脱ぎっぷりも大変によろしい。あんまりあっさり脱ぐので有難味が感じられないほどだ。ちゅーか、その積極的な態度は本当に処女なのか、どうなんだ。

 スリラーではないのに不穏な匂いが漂うのは、男を演じるジェイミー・ドーナンの目が死んでいるからだ。よく脱ぐのはモデル時代からで(もちろん必然性のない場面でも脱ぐ)それは結構なのだけど、どうやら俳優には向いていないのか、どれだけ動きのある場面でも目に表情がない。おかげで実はアンドロイドなのではないかと不安になる。もしかして役柄の過去を意識した役作りなのだろうか。

 そう、実はこの映画、どうやらシリーズ化を意識した作りになっている。曖昧で不完全な結末はよくOKが出たものだと感心するくらいだし、男の謎を散りばめるだけ散りばめてほとんど回収しないという怠慢さも見せる。続編では新たなるSMの世界が繰り広げられるのだろうか。どうせなら思わず声を上げてしまうほどの怪物的大胆さを見せくれ。





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