ドラフト・デイ

ドラフト・デイ “Draft Day”

監督:アイヴァン・ライトマン

出演:ケヴィン・コスナー、ジェニファー・ガーナー、デニス・リアリー、
   フランク・ランジェラ、サム・エリオット、エレン・バースティン、
   チャドウィック・ボウズマン、ケヴィン・ダン、ショーン・コムズ、
   ジョシュ・ペンス、トム・ウェリング、ロザンナ・アークェット

評価:★★★★




 ドラフトと言うと、日本ではプロ野球のそれを思い出す。競合したときのくじ引きだけでもドラマがあるというのに、『ドラフト・デイ』の舞台はアメリカのフットボール界(NFL)だ。当然何もかもがスケールアップ、ショーアップ。選手の側ではなく、チームのゼネラル・マネージャーを主人公に置いても、ドラマは勢い良く盛り上がる。

 何と言っても、ルールそのものが面白い。32にも上るチーム数。前年の最下位チームから与えられる指名権。指名権のトレード。10分間の制限時間。関係者やファンからの喝采とブーイングを装飾に、ドラフト・デイはそれぞれの思惑が時に派手に、時に繊細に飛び交う。複雑な仕組みを分かりやすく見せる手際の良さ。まずはそれがサスペンスを盛り上げる燃料になる。

 変に気取らないのが良い。コメディ畑のアイヴァン・ライトマンが手掛けたのが功を奏したのか、いつもと勝手が違うフィールドで指揮を執ることで、緊張感が出たらしい。王道のハリウッド映画として、クライマックスの逆転劇だけは何が何でも盛り上げるとばかりに、ポイントを押さえた情報の落とし方で前のめりに話を進める。

 そう、これはたった一日の物語。分刻みで運命の時が近づいていく様、それを常に念頭に置いた演出が効いている。分割画面の繰り返しはさすがにくどいものの、それさえ我慢すれば後には痛快な興奮が待っている。主人公は方々から責められる。チームを目立たせたいオーナー、譲れない戦略を持つ監督、こちらの出方を探りながら駆け引きを仕掛ける他チーム、勝手なことばかり言う同僚、妊娠が判明した恋人、夫を亡くしたばかりの母、プライドと不安の狭間に置かれる花形選手、期待と不安を抱えた指名候補選手たち。豪快な背負い投げが決まるクライマックスは、これら全ての関係が一挙に納得の着地点に達する。

 しかし、いちばん物を言うのは、亡くなったばかりの主人公の父親の存在だ。名選手にして名監督だった偉大なる父。しかし、多くの父息子がそうであるように、ここでも関係は綺麗にはまとまらない。主人公はGMとして父を解雇したこともあり、今なお亡き父の大きさに苦悩する。主人公を危険な賭けに走らせるのは父の残したたった一枚の紙切れで、これがアメリカの父と息子の関係を美しくまとめ上げるのだ。だからケヴィン・コスナーの主演は意味がある。思わず「フィールド・オブ・ドリームス」(89年)を思い出す。

 そう、コスナーが「アメリカの良心」として輝く。長い低迷期があった分、捻くれた渋味が出てきたのがアクセントになり、中年期よりも演じるキャラクターに現実感が出てきた。単純に正義や良心を掲げるのではなく、己の惨めさを覚悟した上での立ち居振る舞いに見えるようになってきた。

 それにしても逆転劇が面白い。主人公の仕掛けた賭けが他チームの動揺を誘う件に説得力がある。その背後に選手の人間性が見え隠れしているのがアメリカ的で、全チームの運命が雪崩式に揺さぶりを受ける。それぞれの選手に必要以上に深入りした描写がない分、気持ち良く見られる。脚本が良く出来ているのだ。





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