ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 “Luftslottet som sprängdes”

監督:ダニエル・アルフレッドソン

出演:ノオミ・ラパス、ミカエル・ニクヴィスト、アニカ・ハリン、レナ・エンドレ、
   アンデシュ・アルボム・ローゼンダール、ハンス・アルフレッドソン、
   ヤコブ・エリクソン、ソフィア・レダルプ、ミカエル・スプレイツ

評価:★★




 シリーズ第三作目となる『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』の物語は、前作の直後から始まる。リスベットの過去が明らかになり、その人物像をメインとして描くことはもうないのではないかという不安が的中。これはもう二作目の壮大なるエピローグのような映画だ。その上、恐ろしく長い。観終わると疲労感たっぷり。

 多分作り手が大いに意識したのは、原作ファンの存在なのではないか。強烈な個性を具えたヒロインだからその支持も熱烈で、原作を丁寧に扱って描き出さなければ批判されることが予想される。だから彼女の周辺人物も含めて、無理矢理エピソードを組み込む必要がある。出てくる意味の感じられない登場人物が次々顔を見せ意味ありげな行動をしても、結局それが話に絡んでこないことの繰り返し。敵が公安警察なので新たに人物を出すことには苦労などないだろうけれど、人が増える度に間延びした印象。

 リスベットが活躍する場面はほとんどない。前半はずっと病院に閉じ込められているし、やっと退院したかと思ったら今度は独房に移されてしまう。後半の裁判場面でも動きはなく、喋ることもしない。ただし、出廷する際の髪をおっ立てたスタイルは、一作目の彼女が帰ってきたようで嬉しい気分になる。この格好で大暴れして欲しいのさ!あと、冒頭である人物が死んだことを知らされたときの彼女の不敵な笑みにはゾクゾクした。

 敢えて言うなら、見所はジャーナリズムの考察にあるだろう。今回の主役はどちらかと言うとミカエルの方なのだ。彼が記者・編集者として働く雑誌ミレニアムは、巨大な社会悪に真っ向から立ち向かう。それは社員たちの命を危険に晒すことにもなる。あまりにも大き過ぎる糾弾相手からの圧力。その葛藤が最も面白いところだ。前二作ではその存在意義がさほど感じられなかった、ミカエルの愛人にして雑誌の編集長であるエリカが、ようやく効いてくる(演じるレナ・エンドレがとても良い。疲れ方に芸がある)。ジャーナリズムのあるべき姿はどういうものなのか。ミカエルとエリカを軸に、答えの出ない答えを凝視する。

 後半は法廷劇の様相を呈してくる。この見せ方には若干の違和感を感じた。リスベットの行動を完全に「善」として捉えているのが第一の要因、そしてリスベットのハッカー仲間が違法行為により集めた証拠が決め手になるのが第二の要因だ。要するにリスベット派にとても都合の良い展開。

 二作目で良い味を出していた「金髪の大男」は、ここではほとんどターミネーター。ロマンは消え失せて単なる怪物として描かれている。せっかくその正体が明らかになったのに、それについてはすっぱり忘れ去られ、ただひたすらにリスベットの命を狙う存在になる。本筋には関係ない存在に成り下がるのだけれど、しかし彼との対決が最後の最後に用意されているから驚いた。エピローグ的映画のエピローグ、なんとも強引。

 シリーズ三作を通して考えると、リスベットが最も輝いていたのは、結局一作目だった。二作目はその人気にあやかってリスベットの過去を詳しく描き出し、三作目はさらにその後日談的な意味合いだけが前面に出た。出来映えが落ちてくるのも当然か。





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