エクソダス:神と王

エクソダス:神と王 “Exodus: Gods and Kings”

監督:リドリー・スコット

出演:クリスチャン・ベール、ジョエル・エドガートン、ジョン・タトゥーロ、
   アーロン・ポール、ベン・メンデルソーン、シガーニー・ウィーヴァー、
   ベン・キングスレー、マリア・ヴァルヴェルデ、ヒアム・アッバス

評価:★★




 常々思うことだ。白人が中東系の人々を演じるのは無理だ。本人が断ったか、クリスチャン・ベールが素に近いメイクだったのにはホッとしたけれど、ジョエル・エドガートンやジョン・タトゥーロ、シガーニー・ウィーヴァーら他のキャストはまんまと奇怪な化粧の犠牲になる。とりわけエドガートン。丸刈り・垂れ目のオカマちゃん風になってしまった。素で中東系になれるベン・キングスレーは特別なのだ(父がインド人)。まあ、ダイアン・レインに中国人を演じさせたことのある日本から声を出しても説得力はない。

 『エクソダス:神と王』は旧約聖書の「出エジプト記」を基にしている。簡単に言えば、ダーレン・アロノフスキー監督の「ノア 約束の舟」(14年)の姉妹篇のような仕上がりで、見所はスペクタル場面だ。リドリー・スコットはまず細部の創り込みから入る。失敗したとは言え化粧は念入り。衣装や美術も丁寧に手掛けられる。何気ない背景にも視覚効果がたっぷり使われているはずだ。ところが、これが作り物っぽい。大きさに物を言わせた彫刻に代表されるように、コント番組仕様に見える場面が多い。

 それならば思い切り娯楽に振り切れた作りにしてくれれば良いのに、スコットは酷く真面目に物語を語る。モーゼとラムセスの確執を深刻顔を崩さずに紡ぐのだ。何故だかラッセル・クロウ風の演技のベールもそれに乗っかり、奴隷として苦しむヘブライ人を陰気に率いる。アイデンティティーの問題はそこそこに、あっさりエジプトとの対決に向かっていくから、変に自由なアプローチはできなかったのかもしれない。

 前半は静かな画が続くも、後半、派手な画が連発される展開に突入する。「10の災厄」が始まるのだ。スコットもこのために我慢していたのだと言わんばかりにノリノリだ。まずはナイル川が血に染まるシークエンスなのだけど、突然巨大ワニが大量に登場、船の上の人々を襲い始めるというのに嬉しくなる。何と言うか、突然バカ映画になったような、不思議な快感。その後もカエルやらイナゴやらが大量に押し寄せるわ、人々の肌が爛れるわ、子どもたちは突然死を迎えるわ…と災厄は続く。ほとんどホラーテイスト。説明的なセリフにより、災厄に理由がつけられるのには苦笑い。

 スコットはこれがやりたかったのだろうと手に取るように分かる演出の乱れ打ちなのだけど、何と、どうして、紅海が割れるクライマックスシーンは案外行儀の良いもので拍子抜けする。「十戒」(56年)と差別化を図りたかったのか、静かに奇跡が訪れる雰囲気で、ケレンという点において大いに物足りない。何故いちばんのクライマックスで遠慮するのか。

 モーゼとラムセスの確執が駆け足で処理されるという物語上の最大の欠陥を埋めるもの。スコットはアクションにそれを見出したはずだ。それに急ブレーキがかかった理由。それはひょっとして、昨今のハリウッドに蔓延する「リアリティ」問題に関係があるのではないか。クリストファー・ノーラン映画から始まった真面目嗜好が悪影響を及ぼしているような気がしてならない。





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