ビッグ・アイズ

ビッグ・アイズ “Big Eyes”

監督:ティム・バートン

出演:エイミー・アダムス、クリストフ・ヴァルツ、ダニー・ヒューストン、
   ジョン・ポリト、クリステン・リッター、ジェイソン・シュワルツマン、
   テレンス・スタンプ、ジェームズ・サイトウ、デラニー・レイ

評価:★★★




 どこかの国の少女漫画とは違い、マーガレット・キーンの描く子どもたちの目には星など飛ばない。私(僕)って可愛いでしょう?なんて声も聞こえてこない。その代わりに目の奥底に宇宙が広がって見える。人は誰しも心の宇宙に他人には、いや自分でも解けない謎を抱えて生きている。

 『ビッグ・アイズ』から察するに、ティム・バートン監督はマーガレットの作品が好きだ。彼女が生み出す少年少女の目周りの仄暗さは、なるほどバートン・ワールドの住人のよう。映画の色合いはバートン映画にしては随分明るいけれど、それでもやはり脳天気にはならない。画面をキャンパスに見立てたバートンが動く絵を撮るように遊びながら、愛する芸術家への共鳴を実現させる。

 マーガレットは二度目の結婚後10年間、夫ウォルターの影武者として作品を発表し続ける。実に愚かな行為だ。けれどバートンはマーガレットをバカ者としては描かない。男と女では世間の見る目が違う社会を見逃さず、人間誰しもが強く自分を主張することができるわけではないという、軽視されがちな真実を恐れずに掲げる。

 バートンの弱者に対する視線は、一貫して温かなものだ。ここでもマーガレットの抱える葛藤を優しく撫でる。誰かにできることが、誰かにはできない。「誰かにできるなら、誰かにもできる」という点が積極的に讃えられる中、その苦しい現実を笑うことなく、その背中を何とか押そうとする。マーガレットを演じるエイミー・アダムスはバートンのそういう姿勢を理解している。

 マーガレットを追い込むウォルターがろくでもない。ところが、ここがまた面白いのだけれど、バートンはウォルターにもどこかでシンパシーを寄せる。絵を描く才能などない。そればかりか達者な口と度胸を武器に世間を騙し、妻を追い込む彼の滑稽さに、そういう風にしか生きられない憐みと同情を与えている。ろくでもない。けれど、どこか憎めない。クリストフ・ヴァルツの相変わらずの妙演も武器に、ウォルターは詐欺師であってもチャーミングだ。

 芸術と商業の間に横たわる溝はもっと深く掘っても良かった。ブームに乗った人々やそれに反発する批評家の反応も含め、ポップアートに対するバートンの姿勢が見え難く、その点が不満。まあ、バートンの場合、自分が満足できればそれで良いと思うタイプのはずなので、そちらにはさほど興味がなかったのかもしれない。彼はいつも、弱き者の味方であり続け、それが全てなのだろう。





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