トラッシュ! この街が輝く日まで

トラッシュ! この街が輝く日まで “Trash”

監督:スティーヴン・ダルドリー

出演:リックソン・テヴェス、エドゥアルド・ルイス、
   ガブリエル・ウェインスタイン、マーティン・シーン、ルーニー・マーラ、
   ワグネル・モウラ、セルトン・メロ

評価:★★★




 「走る」という動きは映画ととにかく相性が良い。フォレスト・ガンプは走った。イーサン・ハントも良く走る。アンジェリーナ・ジョリーも結構走る。スクリーンを突き破るような快感が走る人物の芯に宿り、それがいつしか観る者に伝染するのだ。『トラッシュ! この街が輝く日まで』は追う者、追われる者の物語のため、走るショットが多い。なるほど、快感だ。

 加えて走るのは三人の少年だ。拾った財布に懸賞金が賭けらていることを知った三人がその秘密を探り、いつしか警察に追われるようになる。14歳の命は運動量が抜群に多い。全速力の走りが風を起こし、周りを揺らし、新しい何かを手に入れる。その瞬発力こそ、何物にも代え難い。

 しかも三人はブラジル、リオデジャネイロ郊外のスラム街に住む。神父やソーシャルワーカーの世話になる彼らの日課がゴミ山漁りというのが強烈だ。三人だけではない。そこは数え切れないほど貧しい人々が生きるための宝を探す場なのだ。すぐ傍にはダウンタウンがあるというのに、あぁ、ブラジルの現実。三人がゴミ山で見つけたものは希望か、絶望か。その答えのために走る、走る、走る。

 こういう背景が用意されると、どうしてもフェルナンド・メイレレスの「シティ・オブ・ゴッド」(02年)を思い出すわけだけれど、苛烈さはあちらほど胸に刺さらない。もちろん酷い現実には違いないものの、どこか上品で安穏なが気配がある。おそらくこれはスティーヴン・ダルドリーが手掛けているのと無関係ではないだろう。現場の近くで生き抜いてきたわけではない人間が、どこか外野から眺めているような気配。

 それにダルドリーは少年たちの身体から溢れ出る生命力よりも、その健気さに注目している。14歳にしては小柄な少年たちが生きるか死ぬかの瀬戸際に置かれ、必死に走る。当然応援しないわけにはいかない。健気に、懸命に、泣くことも拒否して前を向く。さあ、この逞しい少年たちから我々も学ぼうではないか。煩く、鬱陶しい主張だ。

 彼らに似合うのはしたたかさだ。多少の法律違反など恐れず、生きるためにはシラッと背中を向ける。綺麗事を吹き飛ばす眼光があるもの。とりわけラファエルという名の少年(リックソン・テヴェス)。ちりちり頭としっかりした顎、そして横から見たときのカールした睫毛が良い味だ。彼ならば「シティ・オブ・ゴッド」の世界でも頼もしく生き抜けそうだ。





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