96時間 レクイエム

96時間 レクイエム “Taken 3”

監督:オリヴィエ・メガトン

出演:リーアム・ニーソン、フォレスト・ウィテカー、マギー・グレイス、
   ファムケ・ヤンセン、ダグレイ・スコット、サム・スプルエル、
   リーランド・オーサー、ジョニー・ウエストン

評価:★★




 カーヴが続く山道で追突された車が崖下へと転落する場面がある。運転しているのは主人公ブライアン・ミルズだ。岩に何度も打ちつけ回転しながら落ちていく車。ようやく止まったと思ったらもちろん爆発・炎上する。断るまでもなくニーソンは無事なのだけど、どうやって助かったのか、もはや説明もされない。いや、一応後にそれらしい説明は出てくるのだけど、詳細は誤魔化される。

 ミルズだから良いのだ。演じるのがリーアム・ニーソンだから良いのだ。『96時間 レクイエム』は作り手がそういう意識で撮った映画だ。娘を溺愛するミルズが暴走機関車と化し、悪漢を懲らしめる。ミルズは無敵であり、不死身であり、だからどんな窮地も切り抜けられる。方法は重要ではない。そんな安心感を前提にして、爽快なアクションが出来上がると思ったら大間違い。脚本が酷い。

 ミルズの妻ファムケ・ヤンセンが殺されるというシリーズ好きを無視した出足を見せる物語は、娘マギー・グレイスのボーイフレンドを顔見せさせただけで済ませ(妊娠の件は何のために必要だったのか?)、警察を案の定無能として描き(フォレスト・ウィテカーを担ぎ出して、何故?彼がベーグルの熱さに気づいていることは明白なのに、理解し難い言動)、関係ない一般人を巻き込んでも平気な顔。そうしたらあらら、ミルズの無茶な行動が、かえって目立たなくなるではないか。

 それにしても編集がお粗末だ。アクションが激しいカット割りで処理されるのには呆れるけれど、もっと呆れるのは普通の会話の場面でも編集が落ち着かないことだ。数秒単位でどんどんカットが切り替わっていく。カメラが揺れているわけでもないのに、酔いを誘う画の連続。すると映画から抑揚が失われる。やけに疲労感が蓄積されるのはそのためだ。

 まあ、悪くない場面もある。ミルズの仲間たち(もちろん初老のオッサンばかり)がスパイ大作戦風に協力する件。或いは、ミルズが娘の行動パターンを知り抜いて警察の裏をかく件。父と娘が互いを信頼し合う部分だけは、どんなことがあっても揺るがないのも良い。

 数え切れないほど多くのフォロワーを生み出した、いや未だに生み出し続けている「96時間」(08年)シリーズも、いよいよ終焉が見えてきた。ニーソンが変わらず大スクリーンに映える体躯でも、もはや「暴走機関車」は個性ではなくなってしまった。新しいアクション映画の風はいつ、どこで吹くのか。そこにリュック・ベッソンがいることはないだろう。





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