サンバ

サンバ “Samba”

監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ

出演:オマール・シー、シャルロット・ゲンズブール、
   タハール・ラヒム、イジア・イジェラン

評価:★★★




 エリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュは真面目な題材をコメディに仕立てて考えさせる二人組のようで、「最強のふたり」(11年)で身障者を取り上げたのに続き、『サンバ』では深刻な移民問題を物語の軸に通す。移民支援センターで出会ったセネガル出身の男と仕事に燃え尽きて心が疲れている女の掛け合いを手堅くまとめる。

 二人組の秘密兵器はまたもや、オマール・シーだ。長身が気持ち良いアフリカ系のシーは、「最強のふたり」でそうだったように、陽の存在感の持ち主だ。けれど、決して脳天気には映らない。陽の彼方此方がどこか翳りを帯びているからだ。明るさの裏に人知れぬ哀しみが漂う。その個性が出国を余儀なくされそうな主人公サンバの役柄に慎ましく溶けていく。「最強のふたり」とは違い、役柄が受けに回っているところがあるため、何時でも何処でも人々の太陽として輝くというわけにはいかないものの、それでも彼の眺めは相変わらず良い。

 シャルロット・ゲンズブールがシーに安らぎを覚えるのも実に自然だ。ラース・フォン・トリアー映画への主演により疲れた心と身体のリハビリをしているかのようなゲンズブール。シーとのコンビネーションがなかなか楽しい。シーに対して苛立ちを爆発させる場面が真に迫り過ぎていて可笑しいし、その後少しずつ表情が柔らかくなっていくのにはホッとする。良かったじゃないの、この役に出合えて。

 日雇いの仕事で生きる移民たちの姿は心が痛む。どうやら状況は好転の兆しが見えない。もしかしたら今後ますます問題は深刻になるのかもしれない。それでも作り手はどこかに希望を感じてもいる。シーやゲンズブールが未来を向く姿に、シーの友人のタハール・ラヒムの根拠のない笑顔に、イジア・イジェランの本能的な行動に…。こういう楽観性は胡散臭くなりそうなものなのに、キャストの力を借りて、それを軽やかに切り抜ける。

 ただ、作為はやや目立つ。とりわけシーが移民支援センターで出会うコンゴ男の動かし方は腑に落ちないところが多々。その煽りを喰ったのがシーで、サンバの性格上、信じ難い過ちを犯して自らを窮地に追い込む。コンゴ男の結末も含めて若干の後味の悪さあり。

 それからせっかくユニークな主人公の名前、『サンバ』が案外前面に出てこないのは寂しい。別にサンバの達人にしろなんて言わないけれど、圧倒的に目に焼きつくショットが欲しかった。それにほら、シーの大きな身体はサンバに映えそうではないか。





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