ホビット 決戦のゆくえ

ホビット 決戦のゆくえ “The Hobbit: The Battle of the Five Armies”

監督:ピーター・ジャクソン

出演:マーティン・フリーマン、イアン・マッケラン、リチャード・アーミテイジ、
   エヴァンジェリン・リリー、リー・ペイス、ルーク・エヴァンス、
   ベネディクト・カンバーバッチ、ケン・ストット、ジェームズ・ネズビット、
   ケイト・ブランシェット、イアン・ホルム、クリストファー・リー、
   ヒューゴ・ウィーヴィング、オーランド・ブルーム

評価:★★




 前作のクライマックスを飾ったドラゴンがいきなり大暴れする。人間の住む村を火の海へと変え、建物を砕き、死人も多数。これがTVゲームを思わせる映像だったので驚く。本当にピーター・ジャクソンが手掛けたのか。ファンタジーの世界を描き出しながら現実感を決して忘れなかったジャクソンなのに、これは何なのか。

 …と不安な出足の『ホビット 決戦のゆくえ』は、あぁ、やっぱりジャクソン、その後は安定した映像美が続く。灰色がベースで華やかさには欠けるのに、神秘的な匂いが途切れることなく細部まで丁寧に描き込まれる。悪玉として出てくるオークなんかは、造形としては近寄り難いものなのに、それでもなお見入る。隅々まで行き届いたジャクソンのこだわりが形になっているからだ。

 だから残念なのは物語だ。三部作をまとめる最終章だというのに、場所をほとんど移動することなく、ひたすらに戦いが繰り広げられる。ドワーフ、エルフ、人間、そしてオークが己の利益を目指して血を流す。それも人海戦術ばかりだ。剣と盾を両手に攻め込むのが大半というのは、いかに映像が綺麗でも次第に飽きが来るというもの。途中レゴラスが知恵を用いたアクロバティックな技を繰り出す。ちょっぴり笑いもある。思わず拍手を贈りたくなる。

 「指輪物語」三部作(01~03年)と比較して思うのは、キャラクターの創り込みの弱さだ。主人公であるビルボ・バギンズはほとんど旅の目撃者でしかないし、ガンダルフやレゴラスら続投組は彼らがいなくても成立する程度の役割。新登場のドワーフたちは数に物を言わせている感が強いし(ただし、ここにきてキーリが目立ち始める)、バルドは大活躍するもののアラゴルンほどのカリスマ性はない。

 とりわけビルボと共に旅を引っ張ってきたドワーフのリーダー、トーリンが弱い。旅の前半の頼もしさはどこへやら、金銀財宝を目の前にして途端に欲深い男へと変貌する。竜の病などという言い訳はしなくてよろしい。変貌は受け入れられても、その見せ方が、あまりに軽い。ほとんどチンピラ風情。アーケン石なる、鍵となる宝石から感じられる妖気も微々たるものだ。

 そう、『決戦のゆくえ』では金に目のくらんだドワーフのリーダーに対する苛々ばかりが強調され、カタルシスに乏しいのだ。生を受けた者の心の弱さを突く云々の域に到達することなく、底の浅い者たちによる無意味な戦いが延々続くだけに見える。戦いの中でドラマが動くこともない。あるのは勝った負けただけ。旅の終着点に漂う虚しさが寂しさを誘う。





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