ショート・ターム

ショート・ターム “Short Term 12”

監督:デスティン・クレットン

出演:ブリー・ラーソン、ジョン・ギャラガー・ジュニア、ケイトリン・デヴァー、
   ラミ・マレック、キース・スタンフィールド、ケヴィン・ヘルナンデス、
   アレックス・キャロウェイ、フランツ・ターナー、
   ステファニー・ベアトリス、ダイアナ・マリア・リーヴァ

評価:★★★




 子どもの、とりわけティーンエイジャーの描き方は難しい。肉体的に成長していても、心は未熟。純粋さゆえに、些細なことに傷つき苦しみ、他人を困惑させる。そういうステレオタイプにハマりやすいのだ。『ショート・ターム』はその罠を切り抜ける。それも誘惑てんこ盛りのティーン専用短期養護施設を舞台にしながら、だ。

 ブリー・ラーソン演じるヒロインは施設のケアマネージャー。妊娠が明らかになったばかりだ。彼女の子どもたちへの向き合い方が気持ち良い。それぞれの問題に目を配りつつ、理解しつつ、対策を練りつつ、けれど決して「子どもだから」という枕詞を置くことなく、彼らと目を合わせている。「安全に生活させるのが仕事」と言いながら、それだけに終わらせない眼差しがある。

 施設からひとりの少女が脱走する。ラーソンは追いかける。しかし、規則もあって、決して無理には連れ帰ろうとはしない。ではどうするのか。同じスピードで歩くのだ。要するにラーソンは距離感の取り方にセンスがある。そしてこれが、物語の特徴にもなる。酷く深刻にも、酷く感傷的にもなる細胞を持った題材に向かって、心地良い風が吹く。

 施設の日常が描かれていく内、ローソンが抱える闇もまた露になる。プロの仕事を見せる彼女の顔に動揺の色が浮かぶ。しかし、それがまた、過剰な感情の爆発を避けて見えてくる。ジョン・ギャラガー・ジュニア演じるラーソンの恋人の存在が効いてくる。職員と子どもの関係同様、同僚同士や恋人同士の間柄も、極めてデリケートな距離感が保たれる。恋人は単に懐が広いだけではない。

 デスティン・クレットン監督は人間観察眼が優れているのだろう。例えばラーソンとギャラガー・ジュニアが一緒に横になったときの会話。顔が接近した状態でラーソンは妊娠を告げる。ギャラガー・ジュニアは最初は冗談だと受け取って笑い、しかしその後本当だと知ると一旦部屋を出ていく。そしてしばらくした後部屋に戻り、親になる覚悟と喜びを語る。実に誠実な反応だ。

 職員・子どもを問わず、若い俳優たちが健闘だ。甘えのない演技が揃う。やはりラーソンが真ん中にいる意味が大きいか。エラが張った輪郭の頼もしさと力ある目から滲む聡明さ。己のことに関しては弱くもありながら、それでも自分の足で立ち続けるヒロインに命を吹き込む。適度な距離感が生み出すかけがえのない何かを知った演技だ。





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