あなたとのキスまでの距離

あなたとのキスまでの距離 “Breathe In”

監督:ドレイク・ドレマス

出演:ガイ・ピアース、フェリシティ・ジョーンズ、エイミー・ライアン、
   マッケンジー・デイヴィス、ベン・シェンクマン、マシュー・ダダリオ、
   アレクサンドラ・ウェントワース、ヒューゴ・ベッカー、
   ブレンダン・ドゥーリング、アニー・Q、カイル・マクラクラン

評価:★★★




 ドレイク・ドレマス映画の味はどうやら、その空気感にある。「今日、キミに会えたら」(11年)に続いて英国から米国へ女子留学生がやって来る『あなたとのキスまでの距離』により、その考えを確信する。自分が生きている現実と地続きであることを忘れさせない生活感があり、しかもそれがしっとりとしていて魅力的だ。

 ドキュメンタリーのように揺れるカメラ。飾りが極力排除された空間設計。食器や家具、ベッド、カーテン、家の内装等の趣味の良さ。深い緑に囲まれた田舎の風景。適度な湿度と温度。「今日、キミに会えたら」ではほとんど流れなかった音楽が、ピアノとチェロの音色によって背景に溶け込むのも見ものだ。

 留学生は世話になる家族の父親と恋に落ちる。不倫になるわけだけれど、泥臭さが感じられないのが面白い。プロの音楽家になる夢を諦められない教師の父親とどこか淋しげで音楽から距離を置きたがる留学生。男女の性的な魅力よりも、互いのインスピレーションの源になるという関係に真実味がある。直接的なラヴシーンよりもエロティックなのは、一緒にピアノを弾く場面だ。絡み合う指と指。肩に寄り掛かる頭。すぐ傍で聞こえる息遣い。

 ガイ・ピアースの抑えた巧さはもちろん、やっぱりフェリシティ・ジョーンズが良い。目周りの黒とその中に浮かぶ瞳の灰色のコンビネーション。すぐに赤味が注すつんとした小ぶりの鼻。濡れたブルネット。めくれた唇。そこから覗く白い歯(ちょい出っ歯)。小柄な肢体。気まぐれなネコのような気配を漂わせ、それが作品の匂いを決定づける。

 ピアースとジョーンズのケミストリーに酔いながら、しかしずっとは浸らせてくれない。妙に泥臭い展開が用意され、それをかき消そうとするからだ。ピアースの娘が気にかけている男とジョーンズが寝た寝ないの件。娘による陰湿な陰口や態度。母が真実を知ったときの哀しみと怒り。当然の反応だと受け入れられないのは、物語の魂までが汚されてしまったような居心地の悪さを感じるからだ。ドレマスの作風に似つかわしくない演出だ。

 それに気づかないままに突入するクライマックス。ピアースとジョーンズは幸せになれるのか…なんて問い掛けに寄り掛かるのに落胆する。突如昼メロに変態したかのような違和感。ノア・バームバック映画のような辛辣で批評的な眼差しがない分、簡単なところに落とし込んでしまったような印象だ。





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