グッバイ・アンド・ハロー 父からの贈りもの

グッバイ・アンド・ハロー 父からの贈りもの “Greetings from Tim Buckley”

監督:ダニエル・アルグラント

出演:ペン・バッジリー、イモジェン・プーツ、ベン・ローゼンフィールド、
   ノーバート・レオ・バッツ、フランク・ウッド、ジェシカ・ストーン、
   ウィリアム・サドラー、フランク・ベロ

評価:★★★




 TVシリーズ「ゴシップガール」(07~12年)の中でペン・バッジリーはフツーの高校生役だった。それもそのはずチェイス・クロフォードほどの美貌は持たず、エド・ウェストウィックほどに変態的でもない。強いて言うなら、額が広く、生え際がデンジャラスな童顔ボーイ、それがバッジリーだった。その彼がジェフ・バックリィを演じる。なるほど唯一のアルバム「Grace」(94年)のジャケット写真、右斜め下から見たとき、似ていなくもないか。

 バッジリーが類稀なる歌声とギターの才能を持つ伝説のシンガーに扮すると言っても、『グッバイ・アンド・ハロー 父からの贈りもの』は伝記映画ではない。1991年、若くして死んだティム・バックリィのトリビュート・コンサートがニューヨークの教会で開かれることになり、出演をオファーされた息子のジェフがほとんど会ったことのない父と向き合う様が描かれる。父と息子の関係は、ただでさえ難しい。それがティムとジェフ、天才親子となればさらに難しい。

 …そんな風には捉えられない。殊更ドラマティックに語られないのが好ましいのだ。時折父ティムの姿が描写されることはあっても、映画的な見せ方はそれぐらいで、後はコンサート当日までのジェフの心のもやもやを傍らで観察する。カリスマは封印され、その魂に寄り添っても、ジャッジはしない。その節度。

 時を越えて父息子の心を撫でるのはもちろん、音楽だ。父親は没後16年後に追悼コンサートが開かれるくらいの伝説の人。楽曲で描かれる情景がありありと浮かぶ、生々しくも美しく、力強い楽曲の数々が、やはり破廉恥に琴線に触れることなく流れ行く。本人だけじゃなく、演者たちの歌声が混じるのが良いアクセント。

 楽曲の効果はなかなかのもので、ドキュメンタリー調の撮影や日常を切り取ったに過ぎない会話、山場を敢えて作らない展開といった静かな演出を優しく包み込む。主人公はぶらぶらと街を彷徨っているだけなのに、持たせてしまうのだ(もっとジェフ・バックリィの楽曲を流しても良かった)。

 バッジリーが熱演に入らなかったのも大きい。そのまま「ゴシップガール」に出られそうなTシャツとジーンズで通すのはもう少し何かあっても良かったけれど、変に力を入れて泣かせに入らないのは良い。ティムとジェフもそこいらにいる父子と変わらないという解釈だ。その彷徨いはどこか懐かしくも感じられる。もちろん歌唱場面の健闘を讃えたい。本人と較べることは意味をなさない誠実なパフォーマンスだった。





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