ザ・ゲスト

ザ・ゲスト “The Guest”

監督:アダム・ウィンガード

出演:ダン・スティーヴンス、マイカ・モンロー、リーランド・オーサー、
   シーラ・ケリー、ブレンダン・マイヤー、チェイス・ウィリアムソン、
   ランス・レディック、ジョエル・デヴィッド・ムーア

評価:★★★




 ハロウィン・シーズンの田舎町、兵士の長男をイラク戦争で亡くして悲しみに暮れる家族を、長男の友人で同僚だった青年が訪ねる。紳士的で優しい物腰の男はしかし、ある秘密を抱えている。

 好青年が実は…という設定はよくあるパターンでも、『ザ・ゲスト』は退屈とは無縁、一定の緊張感に貫かれる。監督が「サプライズ」(11年)のアダム・ウィンガードと聞けば、納得できる。ウィンガードの演出には楽しいアイデアが詰まっているけれど、結局のところ、最も物を言うのは、その根底に敷かれたB級精神だ。

 ウィンガードは金をかけた装飾の代わりに、的確な映像と意表を突いた展開を用意する。アクション場面における生々しい音響や、漫画になる一歩手前にまで踏み込んだスローモーションと構図。バックに心音のように流れる電子音。青年が不埒者を懲らしめる話に見えて、突如軍云々が出てきて話を豪快に回転させる度胸もある。

 しかも、事件の背後にある種の哀しみを忍ばせることを忘れていない。実は何もその人物を殺さなくても…という展開がある。その次には暴走という言葉もちらつく。しかしその真相(の一部、だろう)から察せられる哀しみに触れると、奇妙なことにそれがカタルシスと接触する。B級ならではの面白味がここにある。

 青年を「ダウントン・アビー 貴族とメイドと相続人」(10年~)のダン・スティーヴンスが演じる。ズバリ適役。強烈なインパクトを残す真っ青な瞳と同時に、その口元に注目したい。笑みを浮かべたとき右の口角が上がり、口が完全に斜めに歪むのだ。その歪さがサブリミナル風に効いてくる。穏やかな風情が豹変する際は色気が滲む。「ダウントン・アビー」のときより大分体を絞っているはずだ。ブラッドリー・クーパーに冷気を振りかけたような空気を湛えるときもある。

 クライマックス、ハロウィン仕様に飾られた学校場面が素晴らしい。青年との対決に作り物感が漂うのがポップだ。足元に流れるスモークや危険な血の色。オリジナルCDから流れるClan Of Xymoxの「Masquerade」。どこか80年代テイストがあり、そう言えばヒロインのマイカ・モンローは当時のマドンナ風(ただし、顔はダコタ・ファニング系のシャクレで、グウェン・ステファニーの匂いも入る)だ。ウィンガードの演出力は「荒削り」と「洗練」がせめぎ合いを見せていて、そこのところに個性がある。

 これでユーモアを自在に操ることができたなら、ウィンガードはいよいよ面白い存在になるのではないか。ユニークな展開の中に浮かぶ笑いは、きっとその不気味さを更に際立たせるはずだ。今は深刻な方向に注意が集中している。新しい可能性が顔を見せる余地は、まだたっぷりある。





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