ドラキュラZERO

ドラキュラZERO “Dracula Untold”

監督:ゲイリー・ショア

出演:ルーク・エヴァンス、ドミニク・クーパー、サラ・ガドン、
   ディアミッド・ミルタ、アート・パーキンソン、チャールズ・ダンス、
   ポール・ケイ、ウィリアム・ヒューストン、ノア・ハントリー、
   ロナン・ヴィバート、ザック・マッゴーワン

評価:★★




 ルーク・エヴァンスには時代物が良く似合う。ごつごつした戦闘服が馴染んでいるし、馬との相性も良い。壮大な美術には難なく溶け込み、階級がはっきりした社会に紛れ込んでも息苦しさを感じさせない。逆に言うなら、カジュアルな現代物にはフィットしない。フィルモグラフィに時代物が目立つのも当然のような気がする。『ドラキュラZERO』の主演も、なるほど納得だ。

 エヴァンスはドラキュラのモデルと言われる実在の男に扮する。オスマン帝国庇護下にあるトランシルヴァニアの君主で、家族や多くの民を守るため、山奥の洞窟に住む魔物の血を飲むことで、闇の力を手に入れる。エヴァンス特有の影がドラキュラに合っている。ただし、気品は足りない。エヴァンスのせいというより、演出の問題ではないか。ドラキュラの創り込みが弱い。

 闇の力を手にしたエヴァンスは、聴力や視力が研ぎ澄まされる。「スパイダーマン」(02年)にもこんなシーンがあったなぁと思い出していると、エヴァンスは突如、陸上選手のように山の中を駆け始める。そのとき姿が無数のコウモリへと変わる。肉体的パワーももちろん手に入れるものの、最も強力な力を見せるのはコウモリに変身したときで、アクションがその繰り返しになってしまったのがお粗末だ。

 そう、エヴァンスの肉体が動かない。半裸場面でも分かるように身体は鍛えられているのだから、それを中心に置いたアクションを選ぶべきだった。安易な視覚効果と重みを感じさせない映像のWパンチで、誰かがプレイしているゲームでも見せられている気分。美学の問題が横たわる。

 帝国の皇帝役のドミニク・クーパーは奇怪な離れ目の効果が面白いし、ドラキュラの妻役のサラ・ガドンは可憐だ。エヴァンスも悪くはない。けれど、ここには官能がない。吸血鬼を描く上では避けては通れない血の描写が淡泊なため、人の血を欲するドラキュラの苦悩がママゴトに見えるためだ。本来これは、官能に化けるものなのに。

 ママゴトが暴走したのがクライマックスだ。ドラキュラはいかにして民を守るのか…という軸が思わぬ方向へ向かう。美学も官能もあったもんじゃない、身も蓋もない展開。作り手がそこに悲劇の匂いを感じ取っているのは明白で、けれど実際にそこに漂うのは単純に、哀しみに狂った男の暴走だ。勝手に美化しないで欲しい。





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