イコライザー

イコライザー “The Equalizer”

監督:アントワン・フークワ

出演:デンゼル・ワシントン、クロエ・グレース・モレッツ、
   マートン・ソーカス、デヴィッド・ハーバー、ビル・プルマン、
   メリッサ・レオ、ヘイリー・ベネット、ジョニー・ソコーティス

評価:★★★




 序盤のデンゼル・ワシントンが可笑しい。口数は少ないが、穏やかな口調。バリカンにより自分で仕上げたボーズ頭。年齢相応に出始めた腹。シャツはきちんとズボンにイン。黙々とこなす皿洗い。電車通勤で、勤め先はホームセンター。ユニフォームはエプロン。つまりどこにでもいるフツーのオッサンなのだ。しかし、ワシントンがフツーのオッサンで終わるわけがない。その正体は…。

 そう、『イコライザー』のワシントンは結局強い。娼婦の少女を半殺しの目に遭わせたロシア系マフィアに怒りを爆発させたことを皮切りに、眠っていた血が暴れ出し、正義の鉄槌を次々下す。その様を「仕事人」と形容するのは簡単だけれど、そのスマートな物腰はワシントン特有のもので、並の俳優が真似できるものではない。フツーのオッサンにも最強の男にも瞬時になれる鮮やかさにワシントンの器の大きさを見る。

 最強の男は戦いにルールを課す。最初は紳士的な会話からスタート。武器は持たず、その場にあるに日用品や工具を的確に活用。腕時計をストップウォッチ代わりにして数秒で敵を仕留める。状況を分析するカットはTVシリーズ「シャーロック」(10年~)風に処理され、ストップウォッチが押されてからはまるでダンスでも踊るかのようなリズムで華麗に「仕事」をキメていく。

 だから惜しいのは、その残酷さだ。静かな気配はそのままに、無表情のまま、敵を一人また一人と殺す、その描写が過剰に暴力的。頭や喉が狙われ、それを貫通するのは当たり前。見るからに痛そうな技の数々を、嬉々として見せようとする嗜好が気持ち悪い。別に善悪の境界を揺さぶろうという映画なんかじゃない。殺しを美化したくないなどという言い訳はしないで良い。

 それもあってクライマックスにあるべき爽快感が抑えられたのは無念だ。ホームセンターが決戦の場となり、ワシントンが豊富な商品や建物の構造を利用して、最終仕上げを実行する。せっかく大袈裟なスローモーションやカット割り、派手な音楽で笑わせてくれるのに(ワシントンは大真面目な芝居を通す。もちろんそれで正解)、手口が残忍であるがゆえに、嫌な後味も残す。せめてある程度は見せない工夫を取り入れるべきだった。

 でもまあ、善良な人々がほとんど死なないのは有難いか。ワシントンが気に掛ける人の好いデブが良い味を出していたのでホッとした。娼婦役のクロエ・グレース・モレッツは最初と最後だけの登場で、残念、役不足だ。現在発育真っ盛りということを宣言する肉付きが印象に残る。

 ラストカットを見て思うのは、シリアスな方向に舵を切り過ぎたのではないかという点。この主人公は観客が思う以上に、ちゃっかりしたところがある。それを活かすにはもっと軽さが必要だったのではないか。シリーズ化されてもおかしくないフットワークの軽さ、それに見合ったトーンからは微妙にズレが生じている。





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