グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 “Grace of Monaco”

監督:オリヴィエ・ダアン

出演:ニコール・キッドマン、ティム・ロス、フランク・ランジェラ、
   パス・ヴェガ、ジャンヌ・バリバール、マイロ・ヴィンティミリア、
   パーカー・ポージー、デレク・ジャコビ

評価:★★




 グレース・ケリー、何と美しく響く名前だろう。ケリーを眺める度に思うことだ。しかし、エレガンスを絵に描いたようなケリーについて、最も的を射た表現を残したのはアルフレッド・ヒッチコックだ。「雪に覆われた山だ。しかし、その山は活火山なのだ(a mountain covered with snow, but that mountain was a volcano)」。そのケリーをニコール・キッドマンが演じる。

 あまりに似ていない。キッドマンを活火山に例えることは可能でも、雪を被っているタイプの女優ではない。心配の方が断然大きい『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』はしかし、ケリーとキッドマンの容姿の違いはさほど重要ではない。化粧と髪型で何とか違和感がないくらいには似せてきているし、そもそも内容が伝記と呼べるものではないからだ。

 1961年から翌年にかけて、フランスと緊張感ある関係にあるモナコが、ケリーの機転により窮地を切り抜ける様を描く政治色の強い作りなのだ。ケリーがヒッチコックから「マーニー」(64年)出演のラヴコールを受けるエピソードを絡めながら、彼女がどんな映画よりも大きな役柄を演じのける様を見つめる。私生活でもある意味女優であり続けることを強いられたケリーの苦悩。それこそがドラマティック!…ということらしい。

 とは言え、オリヴィエ・ダアンがケリーの中に蠢いていたはずのマグマに斬り込めたかというと疑わしい。紗がかかった画面やクロースアップの連打や衣装の着せ替えごっこ。モナコ王室内部の裏切者や神父の政治的介入等、探り甲斐のある要素もあるにはある。けれどダアンの興味は一貫して、物語よりもケリー、いやキッドマンの美しさを切り取ることにあったように見える(レーニエ三世役のティム・ロスの存在感のないこと!)。そうした結果、この映画は何と、ケリーを主人公に置きながら、キッドマンのアイドル映画になってしまった。

 どうやら描かれる内容はあくまで、史実に基づいたフィクションのようで、なるほど物語への気遣いは希薄だ。だからこれはもう、キッドマンの美貌をただひたすらに拝めればそれで良いのではないか。ディオールやカルティエが協力した装飾の数々を完璧に着こなすキッドマン。薄いブルーやイエロー等、淡い色を中心にドレスアップ、隙を与えない。そこにソフトフォーカスまで入ると、ハーレクインみたいだという事実は言いっこなし。キッドマンの表情が動かないのも気づかないふり。

 …と言いつつ、ケリーが一世一代の大芝居に打って出る舞踏会のスピーチ場面にはひっくり返った。どんな駆け引きが見られるのかと思ったら、単なる精神論で各国代表を味方につけるだけとは…。まさか愛云々で国を守るオチに持ってくるとは…。実在の人物を取り上げた映画の限界か。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ