メッセージ そして、愛が残る

メッセージ そして、愛が残る “Afterwards”

監督:ジル・ブルドス

評価:ロマン・デュリス、ジョン・マルコヴィッチ、エヴァンジェリン・リリー、
   リース・トンプソン、グレンダ・ブラガンザ、
   サリー・テイラー=イシャーウッド、パスカル・ビュシエール

評価:★★




 ジョン・マルコヴィッチの演じる役柄が、とにかく胡散臭い。息子を亡くして以来仕事に没頭、妻と娘とは距離を置いた毎日を送るロマン・デュリスの前に、突然出現する。それだけならまだしも、「通訳さんプリーズ」と頼みたくなる意味不明の言葉を吐くだけ吐いて、デュリスを混乱状態に陥れる。デュリスも憤るけれど、ホント、マルコヴィッチがはっきり事実を口にしていたら、それで済む話だ。でもまあ、それじゃ映画にならないのか(いや、でも説得力が必要だ)。

 ファティ・アキン映画のような邦題を付けられた『メッセージ、 そして愛が残る』で最も困惑するのは、芸術性と娯楽性のバランスがとれてないところにあるだろう。本来このふたつがちょうど良いバランスであるときこそ、映画は傑作になるものだと思うけれど、ここでは場面場面によってそれがグラグラ揺れる。極端に深刻になったかと思えば、次の瞬間には突如サーヴィス精神たっぷりになったりの繰り返し。観ている方はギョッとして、頭を切り替えて、やっと慣れたときにまたギョッとして、頭を切り替えて…。いやー、疲れること疲れること。マルコヴィッチ演じる謎めいた医師を作り手もコントロールできていないのが原因だろう。

 マルコヴィッチは自らを「メッセンジャー」と名乗る。彼には人の死期が見えるのだという。安らかな死を導くのが仕事だ。彼は「人生の素晴らしさは、今この瞬間にある」と説く。どこかで聞いたような見たような。そうだ、ちょっと「シックス・センス」(99年)に似ている。特殊な能力が死者が見えるのから死期が見えるのに変わり、能力の持ち主が少年からオッサンになっただけ。オチも含めて、無味乾燥な人間の見つめ方にどこか通じるものがある。もちろん全然怖くはないけど。

 どうせなら「シックス・センス」じゃなくて(全然違うようで実は設定は似ている)「天使とデート」(87年)の方向に振れてくれれば良かったのに。「天使とデート」は突然現れた天使と彼女に恋をした青年のロマンティック・コメディ。エマニュエル・ベアールのそれはそれ愛らしいぶりっこ天使演技が見ものになった、いかにも80年代らしい作品。別に喜劇にしなくても良いから、「天使とデート」風にマルコヴィッチのとんでも能力を笑い飛ばすくらいの余裕が欲しかった。

 得をしたのはエヴァンジェリン・リリーだ。出番は少ないし、特別ドラマティックな見せ場があるわけではない。ただ、デュリスの理想を画にしたリリーの単独ショットが何度か出てきて、これがなかなか綺麗に撮られているのだ。綿毛の舞う緑の森の中、木漏れ日を浴びたリリーの馬顔が美しい。いちばん頑張っているのは(全然良さは引き出されていないけど)デュリスだというのに!





blogram投票ボタン

ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ