アバウト・タイム 愛おしい時間について

アバウト・タイム 愛おしい時間について “About Time”

監督:リチャード・カーティス

出演:ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス、ビル・ナイ、
   トム・ホランダー、マーゴット・ロビー、リンゼイ・ダンカン、
   リディア・ウィルソン、リチャード・コーデリー、ジョシュア・マクガイア

評価:★★




 『アバウト・タイム 愛おしい時間について』の主人公は過去にだけタイムトラヴェルできる家系の男なのだという。その方法というのが、暗闇で拳を握り、行きたい場面を思い浮かべるという単純なもので、いくら何でももう少し考える余地があったのではないかと思う。けれど、すぐさま気づく。あぁ、これも計算なんだ。

 恋愛映画の名手と呼ばれているらしいリチャード・カーティスは、快感のツボを押さえるのが得意な人だ。ツボを押すことに、もっと言うならツボを効果的に押すことに全力を捧げる。タイムトラヴェル法で言うなら、そのヘナチョコな感じを、かえって可愛らしく映るところにまで持っていく。大袈裟にするのではなく日常の一部として描くことで、「親近感」とやらを浮上させる。

 ただ、カーティスは今に始まったことではないけれど(例:「ラブ・アクチュアリー」(03年))、それを隠すのが下手っぴだ。観客の生理を研究しているのか、不快になり過ぎない程度に羽目を外し、ギャグを飛ばし、ベタな楽曲を流し、時には下ネタも入れ、でもやっぱり安心できるポイントは忘れない。感傷を入れることでドラマ性を盛り込んでいるという見せかけにも熱心だ。それが、全て、透ける。

 主人公の好青年ぶりからして、そうだ。顔は平凡でも(ドーナル・グリーソン、ゴメン!)人の好さが滲み出ている彼が、思いやりと一途な気持ちを常に念頭に置きながら、能力と共に奔走する。健気さを味方につけ、或いは盾にし、「等身大」を念入りに創造するのだ。「等身大」ほど胡散臭いものはないことには、もちろん気づかない。

 ところが、世間ではこれが好きだという人が大多数に上るというのも事実だったりする。寛容なのだ。そこに狙いを定めて外さないのがカーティスだと言い換えることもできるだろう。でも、もっと注意深く隅々まで耳を澄ますべきだと思う。ほら、聞こえてくるではないか。「私はいつだって、臆病な君の味方だよ」。こういうのを媚を売るのと言うのだ。

 それにしてもグリーソンは本当にブレンダン・グリーソンの息子なんだろうか。ひょろひょろとした体形も、気弱そうな顔立ちも、あの強面オヤジが血縁関係にあるとは想像させない。しかし、美女と並んでも負けない個性を具えているあたりは、さすがだ。つまらない俳優はそうでない者と並ぶと、見えなくなるくらいに存在感に呑まれてしまうものだ。きっと彼は今後、大きく化ける。その予感を確信に変えてくれたことが、救いだ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ