ファーナス 訣別の朝

ファーナス 訣別の朝 “Out of the Furnace”

監督:スコット・クーパー

出演:クリスチャン・ベール、ウッディ・ハレルソン、ケイシー・アフレック、
   フォレスト・ウィテカー、ウィレム・デフォー、ゾーイ・サルダナ、
   サム・シェパード、デンドリー・テイラー、ビンゴ・オマリー

評価:★★




 序盤にいきなり、嬉しいカットがある。ウッディ・ハレルソンとウィレム・デフォーが同じ画面に入るのだ。般若顔俳優界のトップに君臨し続けるハレルソンと、爬虫類系俳優界で他の追随を許さないデフォーが、同じ空気を吸う。ただそれだけで、何と画面が濃くなることか。俳優の個性は侮れないと改めて思う。

 『ファーナス 訣別の朝』には他にもクセモノが次々登場する。主役を張れるスターたちの豪華アンサンブル。スコット・クーパーは彼らの出し入れに気を遣わなければならなかったはずだけれど、残念、少々荷が重かったか。どの場面も過剰に重苦しく、彼らの演技まで息苦しく見える。クセモノが揃えられても有効活用はなされない。

 印象としてはジェームズ・グレイ映画が近く、60年代・70年代映画の線を狙ったようにも見える。過剰な装飾は剥ぎ取られ、ドクドクという人物の心音を丁寧に捉えようとする気配がある。しかし、それを意識するがあまり、作品がまとうムードまでもが停滞から抜け出せなくなってしまった。

 静かに話を運ぶのは良い。焦らずゆっくり語るのも良い。けれど、人物の中で蠢いているもの(その多くは意思を無視して暴れ回る)までもが、暗い箱の中に閉じ込められて姿が見えない。伝わるのは陰鬱な作品の体温だけだ。

 クリスチャン・ベールとケイシー・アフレックの兄弟間に流れるものはもっと掘り下げるべきだった。最後の切り上げがアフレックからベールへの手紙で済まされるのは物足りない。アフレックがイラク帰りという設定も、もっと上手く話に絡められるだろう。それにより兄弟の関係に大きな揺さぶりをかけることだって可能だ。

 舞台となるペンシルヴァニアの田舎町もずっと黙りこくっている。タイトルのファーナスとはここに建ち並ぶ溶鉱炉のことで、ベールはそこで汗水流して暮らしている。白煙が立ち上がる。色は目立たない。男たちは寡黙だ。そういう町の表情が背景にしかならない。演出の口下手さが目立つ。





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