記憶探偵と鍵のかかった少女

記憶探偵と鍵のかかった少女 “Mindscape”

監督:ホルヘ・ドラド

出演:マーク・ストロング、タイッサ・ファーミガ、サスキア・リーヴス、
   リチャード・ディレイン、インディラ・ヴァルマ、ノア・テイラー、
   アルベルト・アンマン、ブライアン・コックス

評価:★★




 主人公の中年男は他人の記憶を覗き見ることができるのだという。その能力を使って多数の刑事事件を解決してきた。記憶の中に入り込み、真実を晒すことにより、こんがらがった謎の糸を解く。男を演じるのはいかにもデキそうなクールハゲのマーク・ストロング。勝算は大きい。

 …はずだったのが、見事にコケる。いちばん拙かったのは、記憶に入り込む作法が練られなかったことだ。記憶に入り込むという、いかにも映画的な設定を用意しながら、その方法が向かい合って座り、手を握り、目を閉じる…というのだもの。画がつまらない。

 記憶の中でも主人公は退屈を極める。彼は観客でしかないため、記憶を目撃することしかできない。どれだけ陰惨な出来事が起こっても、目を見開き、じっと耐えるのみ。ハリー・ポッターの「憂いの篩」風。何でもありになるのを避けたとも言えるけれど、記憶の中での自由度がもっと高かったなら、物語が違う角度から輝き始めたのではないか。それに挑んでこその映画なのではないか。男の過去を絡めるだけでは温い。

 記憶探偵が傍観者としての役割しか果たさないため、必然的に彼が調べる少女の造形にかかる重要度の比重が高まる。演じるタイッサ・ファーミガはジェニファー・ラヴ・ヒューイットの輪郭に大きな目を乗せた少女で(実際はヴェラ・ファーミガの妹)、美少女のようなそうでないような、不思議なムードを漂わせる。小悪魔的要素もチラリ。見るからに怪しい少女としての、不安定な佇まいが悪くない。

 彼女が住む邸も良い。綺麗なのに、どこか不穏な匂い。家具も食器も美術品も様式も色合いも品が良く、少しの邪気を注いでまとめられている。ここにファーミガが入るとバシッと画が決まる。邸に閉じ込められていた彼女は、実のところ、邸の女王だ。その感じを良く伝える装置と言える。

 映画に「夢」が出てくるときは気をつけなければならない。「記憶」も慎重に扱われるべきだ。『記憶探偵と鍵のかかった少女』はあろうことか、夢と記憶を混同する愚を犯す。結末には驚いて欲しかったのだろうけれど、むしろ記憶の乱暴な扱いにゲンナリする。





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