わたしは生きていける

わたしは生きていける “How I Live Now”

監督:ケヴィン・マクドナルド

出演:シアーシャ・ローナン、ジョージ・マッケイ、トム・ホランド、
   ハーリー・バード、アンナ・チャンセラー、ダニー・マケヴォイ、
   ジョナサン・ラグマン、コーリー・ジョンソン、ダーレン・モーフィット

評価:★★★




 ジョージ・マッケイがシアーシャ・ローナンの傷口を躊躇いなく舐める。ローナンを油断させたところでマッケイが彼女を川の中に突き落とす。なんだ、少女漫画か…と気を抜いていると、その後に訪れるハードな出来事の数々に面食らう。『わたしは生きていける』の多くは、第三次世界大戦勃発後の英国が舞台なのだ。

 視点が完全に子どものそれに限られていているのがミソだ。それも俗世界から切り離された田舎に住んでいる子ども。それを表現するため、アメリカからやって来たローナンを寂しがり屋のツッパリ少女風にしたのは単純過ぎる。空港に降り立ったローナンは、パンダのようなアイシャドウ、鼻にピアス、ヘッドフォンからは大音量のロック。何ともまあ、刺々しい。

 この棘がロンドンから遠く離れた田舎の風景と溶け合う。序盤に最も心に残るのは背景の緑だ。文明の介入が最低限に抑えられた景色の中で、棘は次第に存在感を消していく。癒し…なんて陳腐な言葉が浮かぶものの、実は見所はその先にある。

 こうして棘と緑を自分の身体に沁み込ませたローナンが、戦争勃発後に苦境に置かれる。このとき、大人が無責任に作り上げた灰色と子どものいる緑のせめぎ合いの最中に生まれる懸命な命の気配こそが、濃度を徐々に高めていくのだ。

 それを讃えない。美化しない。装飾は積極的に拒否される。ただ、そこにある命の呼吸だけを見つめる。すると、それ以上でもそれ以下でもない命の脆さと重さ、そして思いがけない強さが、仄かな光を帯び始める。その周りの温度の変化が見逃されない。

 ローナンと従妹の旅はもっと克明に描いても良かった。移動距離や土地の険しさが掴み難く、その過酷な逃避行がアッという間に終わってしまったような印象。旅の過程で命は更なる変化を見せる。それをあっさり処理してしまうのは勿体ない。





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