フランシス・ハ

フランシス・ハ “Frances Ha”

監督:ノア・バームバック

出演:グレタ・ガーウィグ、ミッキー・サムナー、アダム・ドライヴァー、
   マイケル・ゼゲン、パトリック・ヒューシンガー、グレイス・ガマー

評価:★★★★




 グレタ・ガーウィグ演じるヒロイン、フランシスの言動はことごとく裏目に出る。モダンダンサー見習いの27歳は、ブルックリンで親友とルームシェアをしながら、毎日すってんころりん。でもバカだとかマヌケだとか、そんな感じは受けない。いつまで経っても成長しないダメ女とも違う気がする。だってフランシスは地下鉄で、外せなくなった指輪をはめた指のむくみを取るために、手を頭の上に掲げながら、「何だか私、はてなマークみたいね」なんて言うのだ。敢えて言うなら、他の誰でもない女の子だ。

 フランシスがいつも走っているのが可笑しい。実際に走っている場面も多いのだけど、常に喋り続けてもいて、これが疾走感に繋がる面白さ。フランシスでもきっと、降りかかる災難の数々に落ち込みもするだろう。でも、もじもじいじいじするのは嫌い。だから大都会の街中を走ることでそれを吹っ切るのだ。

 これは全く重要なことだ。人生なんてものは自分の思い通りにはならないことの方が圧倒的に多くて、多くて、多くて、嫌になる。だからと言って、極力それを避けようと、ごろごろ転がるそれを見つけるために下ばかり眺めていては、上から伸びてくる木の枝に頭をぶつけるだけだ。フランシスなんぞ、転んで血を流しても、それにすら気づかないまま、そしてまた走る!彼方此方ぶつかっても、スピードを下げて歩くよりはマシ!みたいな。

 ガーウィグが生き生きしている。だらしなく大雑把な生態だから、新しい同居人の男に何度も「非モテ系(undateable)」と形容されるのをシラッと受け止め、それでも明るさを失わないフランシスの個性に、気持ち良くフィット。身体が小さければ(見た目の)可愛らしさで勝負もできただろうに、生憎身体はがっしり、いかり肩だ。でも、それだからこそのフランシスだと、納得させる。

 ノア・バームバックはフランシスを甘やかさない。けれど、突き放すこともしない。それがこれまでの作品群とは異なるところで、登場人物の神経症的な側面を弄り回すことをしないのだ。ただ、フランシスを眺める。しかも、その視線にどこか守護天使のような温か味を感じさせながら…。すると、フランシスの何物にも代え難い愛嬌が輝き始める。

 『フランシス・ハ』の映像や音楽から感じるのはヌーヴェルバーグの濃厚な匂いだ。とりわけモノクロームで切り取られた街の匂いに通じるものを感じる。ただ、それよりもこの映像は、フランシスの生き方を炙り出すがために選ばれたのではないか。どの場面もフランシスの輪郭がくっきり見える。街に溶け込み、時に自分を見失い、時に迷走し、けれどやはり彼女はここで生きる。そういう逞しさがモノクロの景色の中で際立っている。





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