フルスロットル

フルスロットル “Brick Mansions”

監督:カミーユ・ドゥラマーレ

出演:ポール・ウォーカー、ダヴィッド・ベル、RZA、
   カタリーナ・ドゥニ、グーチー・ボーイ、アイーシャ・イッサ、
   カルロ・ロタ、リチャード・ジーマン、ロバート・メイレット、
   ブルース・ラムゼイ、フランク・フォンテイン

評価:★★★




 いきなりオープニング場面のアクションに釘付けになる。ダヴィッド・ベルという聞き慣れぬ俳優が繰り出すアクションが愉快痛快なのだ。生身の身体こそが最良の武器とばかりに、格闘技よりも曲芸に近い動きで、画面を素早く突っ切っていく。壁、階段、手摺、電線、マットレス…手の届くところにあるものをまるで自分の身体の一部であるかのように操るのが素晴らしい。コミカルな要素4割、ドラマティックでクールな要素6割…といったバランス。あぁ、映画というものは肉体を眺める芸術なのだと改めて思う。

 聞けばこのベル、『フルスロットル』のオリジナルであるフランス映画「アルティメット」(04年)でも同じ役を演じていたらしい。10年以上の前の映画になるけれど、ということはもしかしたら当時は今よりも動きがキレていたのかもしれない。ベルのアクションにはパルクールが取り入れられているのだという。パルクールは特別な道具を用いることなく、街中にある建物や壁などの障害物を乗り越えたり素早い動きを見せるスポーツ。そしてベルこそがパルクールの発展に大いに貢献した人物らしい。街中でこの動きをやられたら、むしろ迷惑な気もするけれど、でも確かにまあ、クールな見栄えだ。

 ポール・ウォーカーがベルと同じようにパルクール・アクションに挑む!…なんてことはもちろんない。ウォーカーは昔ながらのアナログアクションで勝負だ。ベルと比べると、明らかに見劣りするものの、そこは編集術の助けを借りたり、ハンドルや銃等の小道具を効果的に操ったりすることでカヴァーする。ウォーカーは多分、ベルこそが真の主役だと気づいているだろう。

 パルクールの技の数々に目を奪われながら、でも結局モノを言うのは、B級精神と密着したガッツだろう。大物を気取っても本物にはならないと知る者たちが、ならば俺たちは泥臭さを認め己にできることをするまでと自分の全力を賭ける。特に役者たちからその心意気を強く感じる。そしてそれが確かに伝わってくる。それを見逃してチープな記号だと斬る輩は信用できない。

 ウォーカーとベルが遂に出会い、悪の巣窟に乗り込んでいくところに、まるでアイデアが感じられないのが無念だ。ふたりは真正面から敵と向かい合い、出たとこ勝負で行く先を決める。さすがにこれは生温い。脚本はどうなっているのか。…と思ったら、なんと手掛けているのはリュック・ベッソンなのだった。ふむ、ならば仕方ない。

 舞台はデトロイトだ。郊外にはブリック・マンションと呼ばれる無法地帯があり、そこは12メートルの壁を築き上げることで隔離政策が採られているという設定だ。何ともまあ、切ない。2018年という近未来とも言えない未来、それくらい人々はデトロイトに絶望を感じているということか。ラストまで見ると、デトロイトへのエールのようにも見える。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ