ケープタウン

ケープタウン “Zulu”

監督:ジェローム・サル

出演:オーランド・ブルーム、フォレスト・ウィテカー、
   コンラッド・ケンプ、ジョエル・カイエンベ、インゲ・ベックマン、
   ティナリー・ヴァン・ウィック・ルーツ、レガルト・ファンデン・ベルフ、
   パトリック・リスター、タニア・ヴァン・グラーン

評価:★★★




 南アフリカの中でも邦題にある『ケープタウン』が舞台になっている点がミソだ。南アと言うと、どうしてもアパルトヘイト政策のイメージが強い。撤廃されて20年経ってなお、悪しき政策が及ぼす影は消えてなくならない。だから南アという言葉を耳にしただけで反射的に身構える。ところが、ここに出てくるケープタウンは思う以上に表情が豊かだ。美しさに胸を打たれる画すら出てくる。

 南アを代表する都市であるケープタウンは立法府が置かれているほどに大都市であると同時に、さらに別の顔を多数隠し持っている。少し奥に行けば貧民街があるし、スラムも目立つ。彼方を向けば海が広がっているし、此方を眺めれば緑を湛えた森が佇んでいる。真っ白な砂漠は果てしなく続きそうに美しく、そして恐ろしくもある。街の多面性が画面にメリハリをつける。

 このユニークな都市を装飾するのが、前述のアパルトヘイトが残した闇であるわけだ。貧困に喘ぐ人々。それでも抜けない差別意識。明らかなる教育の不足。栄えるアンダーグラウンド。飛び交う暴力。メリハリある街の表情から翳りが取れることは、決してない。異様とも言える空間が広がるのも当然か。それを見逃さなかったこと、それこそがこの映画のいちばんの手柄だ。

 元ラグビー選手の娘が殺される事件が発生する。一旦は単純な殺人事件として落ち着きかけるものの、これが意表を突いたスケールの話に広がりを見せる。何気なく触れられていた子どもの大量失踪や頻発する諍いが、思いがけない角度から効いてくる。ケープタウンの闇がますますの奥行きを見せる。

 ここに登場人物のプライヴェートまでを絡めたのはメロドラマが過ぎると言われても仕方ない。強引さがちらつくし、特に結末には感傷までもが迫り出してくる。それほど身近な闇であると言いたいがためと解釈しても、すっきりしないものが残る。

 久しぶりに抑えた演技のフォレスト・ウィテカーも悪くないけれど、ここはオーランド・ブルームを讃えたい。加齢による美貌の崩壊を逆手に取ったと見るべきなのか、清潔感を大胆不敵に放棄した役作りで、いやホント、10年ぶりぐらいに感心した。ブルームが演じるのは自堕落な生活を送る刑事で、常に呑んだくれ、女と遊び、小奇麗さとは程遠い。この人物像にピタリと合わせてきたブルーム、ふむ、違和感なし。この手の男は身体もだらしないはずなのにしっかり鍛えられ、全裸でそれをアピールするのに笑ってしまったことは、言いっこなしヨ。





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