クローズド・サーキット

クローズド・サーキット “Closed Circuit”

監督:ジョン・クローリー

出演:エリック・バナ、レベッカ・ホール、シアラン・ハインズ、
   リズ・アーメッド、アンヌ=マリー・ダフ、ケネス・クラナム、
   デニス・モシットー、ジュリア・スタイルズ、ジム・ブロードベント

評価:★★★




 ロンドンの商業地区で大規模なテロが起こる。画面がどんどん分割されていき、遂に爆発が起こるまでの緊迫感が、大人っぽくて悪くない。『クローズド・サーキット』はこの緊迫感を味わう映画なのではないか。社会派の趣もあるし、娯楽的な要素も散りばめられる。しかし、意外なほど空気感そのものに魅力を具えている。

 物語のポイントになるのは、ふたりの弁護士だ。エリック・バナが直接の弁護人、レベッカ・ホールが特別後見人と呼ばれるポジションに置かれる。とりわけ後者が鍵だ。特別後見人は事件に関する全ての情報に触れられるものの、他人との一切の接触を禁じられる。事件が重要性を増せば増すほど、その立場が危険に晒されることは容易に想像できる。

 したがって、彼女を中心に置いたサスペンス作りがなされると考えるのが妥当なところではあるものの、まるで敢えてそれを拒否するかのような展開にしかならないのに驚く。情報に触れられる唯一の存在という要素が活かされず、ほとんど直接の弁護人との差はないのではないか。作り手の興味はやはり、作品の空気の方により多く注がれている。

 しかし、それでもなお退屈はしない。その緊張と密着した空気に吸引力があるからだ。常に監視されている不安。日常風景の些細なズレ。ルーティンを守る言動。装われる事故。大風呂敷を広げ過ぎることなく、タイトなリズムで要所要所を締めていく。あまり映画向きとは言えない弁護士の生活空間に微妙な表情をつけていく。ロンドンという舞台も大いに物を言う。

 バナとホールは以前不倫関係にあり、バナに至ってはそれが原因で離婚している。本来この手のハーレクイン的設定は作品を安っぽくするだけだ。ところがこれが、むしろ緊迫感の安定に揺さぶりかける効果を上げている。どちらも仕事においてはプロフェッショナルを貫く姿勢を見せるがゆえの効果。

 加えて演じるバナとホールは、大人の魅力を伝えられる俳優だ。バナは髪に白いものが目立ってきたせいか、時折リチャード・ギアに似てしまうことがあるものの、柔な感情に流されることはない。艶めかしくも凛々しいホールも独特の佇まいを保持する。ふたりが同じ画面に入る場面は決して多くはないものの、それがかえって良いバランス感覚に繋がっている。

 結末はもっと大胆に見せても良かった。現実感を優先させた結果なのかもしれないけれど、後味が悪い上、それまで保たれていた緊張感に、かえって弛みを与えてしまった。





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