プロミスト・ランド

プロミスト・ランド “Promised Land”

監督:ガス・ヴァン・サント

出演:マット・デイモン、ジョン・クラシンスキー、フランシス・マクドーマンド、
   ローズマリー・デウィット、ハル・ホルブルック、ベンジャミン・シーラー、
   テリー・キニー、タイタス・ウェリヴァー、ティム・ギニー、
   ルーカス・ブラック、スクート・マクネイリー

評価:★★




 マット・デイモン演じる主人公は巨大な天然ガス会社に勤める幹部候補だ。物語はその彼が農場以外に何もない田舎に狙いを定めて、貧困に喘ぐ地元民から土地を安く買収しようとする様を追いかける。これだけで何やら退屈そうな気配が漂う。主人公はそこで出会った人々との掛け合いにより、38歳にして価値観を揺さぶられてしまうわけだ。ガス・ヴァン・サントが手掛けるべき題材でもないだろう。

 『プロミスト・ランド』の脚本はデイモンとジョン・クラシンスキーによるもので、ヴァン・サントはそれをとにかく大切にして演出を心掛けたようだ。こういうときのヴァン・サント映画は拙い。雇われ監督と言わないまでも、題材への熱量が不足するのか、毒気を失うことに伴い尖がった味が薄くなり、無個性に近づくのだ。下手ではない。けれど、無難にまとめた匂いが濃くなる。

 田舎町は二つに割れる。巨大会社に土地を売って大金を獲得、楽な生活を手に入れようとする側と、環境破壊への懸念から土地の譲渡を頑なに拒む側だ。デイモンもクラシンスキーも、そしてもちろんヴァン・サントもバカではないから、どちらかに肩入れして捌くような真似はしない。理想と現実は簡単に溶け合うものではない。この姿勢は正解だろう。

 ただ、対立を見せるがために、人間の「情」と呼ばれるものに寄りかかるのは拙かった。天然ガス推進派組をデイモン、フランシス・マクドーマンド、反対側をクラシンスキー、ハル・ホルブルックに代表させ、その勢力図に色を塗っていく。物語上はどちらが正しいのか、ジャッジは避けられるものの、推進派の強力なライヴァルである環境保護団体から派遣されたクラシンスキーから、最初から偽善的な腐臭が感じられるのだ。

 データを見せるまでは悪くないものの、子どもに訴えたり、酒の場で交友関係を広げたり…という攻め方は、極めて現実的でシヴィアなこの問題と対峙するには生温かくて、胡散臭い。大オチを考えると、これもまた予め用意された狙い通りの演出と見るべきなのかもしれない。しかし、そうすると推進派を追い詰めるキャラクターの役割としての説得力を欠くことになる。せっかくのクラシンスキーのファニーな魅力が活かされない。推進派につく者たちが軽薄さに包まれた者たちばかりなのもどうか。

 ホルブルックは僅かな時間で場をさらう。登場場面でデイモンをじわじわ追い込む件は大いに見もので、「若造には負けんぞ」の眼差しが大いに頼もしい。白髪パワーもさることながら、目のぎらつき方が迫力たっぷりだ。その後、デイモンとマクドーマンドを食事に招待する場面の余裕の佇まいも惚れ惚れする。侮れないジジイだ。もちろん褒めている。

 気がつけば物語は、デイモンの自分探しの旅に変貌を遂げている。作り込みが過ぎる真相に遊ばれて、そして彼はひとつ成長した…ということらしい。苦味が甘味に完全に呑み込まれる。舌にはすっきりしないものが残る。一刻も早く口を濯ぎたい衝動に駆られる。





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