ラスト・ダイヤモンド 華麗なる罠

ラスト・ダイヤモンド 華麗なる罠 “Le dernier diamant”

監督:エリック・バルビエ

出演:イヴァン・アタル、ベレニス・ベジョ、ジャン=フランソワ・ステヴナン、
   アントワーヌ・バズラー、ジャック・スピエセル、アニー・コルディ、
   ミシェル・イスラエル、イサカ・サワドゴ

評価:★★




 冒頭の盗み場面が、いきなり捨身だ。ホテルの一室に入るために泥棒が、酔っ払って閉め出されたことを装い、素っ裸の状態で従業員に助けを求めるのだ。女の方ならば、主演がロバート・デ・ニーロ化著しいイヴァン・アタルであることを残念に思うだろう。もっと活きの良い若手を用意してくれ、と。何が哀しくてアタルの弛んだ尻なんか…。

 けれど、この場面を見れば『ラスト・ダイヤモンド 華麗なる罠』がどんな線を狙っているのかは、明白だ。「粋」というやつだ。おフランス映画らしい軽妙さを塗し、ロマンスを絡めたオシャレな犯罪劇。男が泥棒で、女が高額ダイヤモンドのオーナー。ファッション誌のグラビアのような画面。雨の中の掛け合い。ジャズが似合う照明。ゆったりとくねる紫煙。金持ちが集まるオークション会場。さあ、最後に笑うのは誰だ?

 これにもうひとつノレないのは、ベレニス・ベジョ演じるヒロインに捻りがないからだ。男が騙す側で、女が騙される側。この役割がはっきりしていて、騙し騙されの駆け引きが皆無。女がいとも容易く男の口車に乗せられてしまうのが、バカに見える。せめて男のテクニックに簡単にはなびかないスマートさが描かれていたら、随分印象は違っただろう。ただし、ベジョはうなじが大変美しく撮られている。

 中盤の「仕事」場面は、意外なほど大掛かり。オークション会場のあちらこちらに泥棒グループの一味が紛れ込んでいて、不敵な作戦が決行される。この「やり口」に違和感あり。ハイテク機器が投入されるのがムードをぶち壊すし、客に背後から注射して眠らせるのは明らかにやり過ぎ。流血沙汰や殺人事件、裏切りやどんでん返しも「粋」を簡単に破壊する。

 楽しいのはむしろ、昔ながらのアプローチだ。アタルが警備員と称してベジョに近づく件や時間差を利用して大切な鍵を盗み出す件、或いは鍵の型を取る件。言葉を巧みに操ることで心理的な誘導を見せたり、古典的作法でアイテムを入手したり…時代遅れと言われかねない描写の方が、魅せる。アタルやベジョの個性にも合っている。

 終幕は完全なる失速だ。仲間割れを発端に意外な事実が顔を出し、物語そのものが途端に血生臭くなってしまった。ハリウッド映画を習ったような畳み掛けが、フランスならではの魅力的な匂いをアッという間にかき消してしまう。ベジョに恐ろしくクオリティの低い変装をさせて喜んでいる場合ではない。





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