ライフ

ライフ “Mary and Martha”

監督:フィリップ・ノイス

出演:ヒラリー・スワンク、ブレンダ・ブレッシン、サム・クラフリン、
   フランク・グリロ、ジェームズ・ウッズ、ラックス・ヘイニー=ジャーディン

評価:★★




 WHOの発表によると、年間3億~5億人がマラリアに感染し、その内150万~270万人が死んでいるとのこと。『ライフ』の製作目的はその事実を世間に知らしめるところにあるように見える。映画に何を求めるか、それは人によって違うだろうけれど、啓蒙的なものが前面に出てくる映画は息苦しい。それならドキュメンタリーにするか、他の媒体を使って学べば良い。

 ヒラリー・スワンクとブレンダ・ブレッシン演じるふたりの主人公は、どちらも愛する息子をマラリアで亡くす。アフリカで出会った彼女たちはその哀しみを乗り越え、マラリアから子どもたちを守るべく活動を始める。大変立派なことだけれど、担当議員に会いに行き、予算員会で発言し、それがメディアで報道されるまでの描写が実にあっさりしたもので、そこに映画的な面白さは皆無だ。

 では、スワンクとブレッシンの関係はどうか。息子を同じ地で亡くすという共通点こそあれ、それだけがふたりを結びつけるのは強引だ。年齢も違えば、生きる場所も違う。しかし、彼らは長年の親友同士であるかのように交流し、助け合う。ならばそこに説得力を持たせられなければ、嘘だろう。女優ふたりの力に頼るのは怠慢というもの。

 とりわけスワンクのキャラクターには首を傾げるところが多い。「あの子を失ったのは父のせいよ」のセリフや夫を蔑ろにした行動の数々、優雅な生活を送る他人の否定等、彼女の経験を思えば分からなくはなくとも、どちらかと言うと思い込んだら一直線的な、迷惑な女の匂いが強い。

 加えてスワンクが持つ「強い女」のイメージ。何にも負けない、困難に敢えて挑む、細い身体から溢れ出るエネルギーと射るような鋭さを湛えた眼差し。スワンクの個性が役柄の強引さとリンクして、鋼の心と身体を持つ一般人が、そこにいる。その行動力には頭が下がるものの、見習いたいとは思えないところにまで突き抜けてしまうが困りものだ。ブレッシンの柔かな演技との中和がなければ、大変暑苦しい映画になっていただろう。

 それにしてもスワンクの夫はデキた男だ。妻が息子がいじめを受けていることを理由に、海外に旅に出ると言い出し、しかも行先を危険の多そうなアフリカに選んでも文句を言わない。旅先で息子が死んでも、それを受け入れる。活動に対して疑問を呈しても、結局は彼女をしっかりバックアップする。そんな男がよくいたもんだと思ったら、この映画、完全なる実話ではないようだ。実際の出来事にインスパイアされてはいるものの、物語は事実通りではない。おそらく現実よりも相当美しくまとめられている。ならば、もっと大胆に映画的に見せて欲しかった。焦点を当てるべきは、政策を動かすところではなく、その心の旅路にあるだろうに。





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