ファイティング・タイガー

ファイティング・タイガー “Man of Tai Chi”

監督・出演:キアヌ・リーヴス

出演:タイガー・チェン、カレン・モク、ユエ・ハイ、
   イコ・ウワイス、サイモン・ヤム

評価:★★★




 誤解を恐れずに言うなら、キアヌ・リーヴスから知性のようなものを感じたことはない。常にどこかヌケていて、でもそれが彼の良いところだ。不器用さを隠せない直情型の人の好さこそが、彼の持ち味だ。でもその彼に監督なんて務まるのだろうか。ファンだからこそ不安は大きくなるばかり。そうして出来上がった『ファイティング・タイガー』は、そのまんまリーヴスという人間が反映されたような映画だ。全く巧くないものの、その素直さが魅力になっている。

 リーヴスが選んだのは格闘技のジャンルだ。主人公のタイガーは北京で太極拳を学んでいて、世話になる寺の保存のための資金を各地の格闘技大会で稼いでいる。リーヴスが「マトリックス」(99年)で華麗なるアクションを見せたことを思い出す。きっとその頃から、このプロジェクトに対する思いは漠然と募っていたのではないかと察する。リーヴスは主人公を自分で演じない賢さを見せる。本場の達人たちに敵うわけがないと気づいたのだろう。視覚効果や編集でごまかしくたくないという意思も感じる。

 リーヴスが主演に指名したのは「マトリックス」シリーズでスタントを担当したらしいタイガー・チェンだ。彼の魅力が分かり辛い。小柄なのは良いとして、そのあまりの無表情さは何なんだ。リーヴスのさらに下を行く表情パターンの少なさに驚愕。本当にワンパターンしかない。糊で表情を固めたような不自然さに常に付きまとわれる。すると、顔立ちにばかり目が行く。インパルスの板倉俊之と氷川きよしをミックスした感じ。アクション場面になると、80年代風ヘアスタイルもあって武田鉄矢も入る。額も広過ぎる。

 彼のアクションは健全だ。ジャッキー・チェンほどコミカルでなく、ジェット・リーほど早くはない。肉眼で落ち着いて眺めるのに丁度良いパフォーマンス。リーヴスは何度も格闘場面を挿入する。賢明な判断だ。この俳優はセリフではなく、身体で語るタイプだからだ。異種格闘技戦を通じて太極拳の意義を改めて顧みるという試みにぴたりとフィット。リーヴスの真面目さが健やかに表れる。もちろん何の捻りもないとそれに退屈さを感じる向きもあるだろう。

 主演を諦めたリーヴスは悪役に挑む。顔はそれほど老けていないのに、身体の動きがカムバックしたアーノルド・シュワルツェネッガー級に固いのに驚く。もちろん表情は変わらない。リーヴスとチェンが同じ画面に入ると、まるで無表情対決でもしているかのような可笑しみが漂う。もちろん狙いではないだろう。

 クライマックスはリーヴスとチェンの対決だ。どちらが勝つのかは言わずもがな。それより注目はリーヴスのアクションの鈍さだ。ストレッチをしないままに撮影に挑んだかのようなぎこちなさで、それなのに突然ワイヤーアクションが強調される。物語上はチェンが苦戦するのだけれど、相当な無理がある。

 そんなわけで欠点は決して少なくない。美点よりも多いぐらいだろう。でもそれがリーヴスらしくて良いじゃないかという気分を誘う不思議な後味。小難しい芸術映画に走ることなく、己の好きなものを、のびのびと提示。おそらくリーヴスにとって、他人の評価ほど意味のないものはないだろう。強引に頭を過ぎったのは能年玲奈の素朴さだ。何だか通じるものを感じるのは気のせいか。





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