サンシャイン 歌声が響く街

サンシャイン 歌声が響く街 “Sunshine on Leith”

監督:デクスター・フレッチャー

出演:ピーター・ミュラン、ジェーン・ホロックス、
   ジョージ・マッケイ、アントニア・トーマス、フレイア・メイヴァー、
   ケヴィン・ガスリー、ジェイソン・フレミング

評価:★




 アフガニスタン、若い兵士たちを乗せた装甲車が砂漠の砂利道を行く。この車内でのパフォーマンスが最初のミュージカル・シークエンスだ。嫌な予感が過ぎる。悲劇的な出来事を羅列しながら、それを明るく溌剌とした歌で吹き飛ばそうとする映画ではないか。或いは敢えて明るく描くことで哀しみを殊更強調する映画ではないか。予感は外れるわけだけれど、まだその方がマシだったかもしれない。『サンシャイン 歌声が響く街』では、ほとんど何も起こらない。

 いや、もちろんストーリーはあるし、登場人物は思い悩む。けれど、浮上するそれらに、特別語るべき価値があるとは到底思えない。スコットランドの美しい田舎の日常を切り取り、そこに何がしかの真実を見つめようという気配はない。日常を大袈裟に騒ぎ立てただけとするのが正しい。

 騒ぎを大きくするのは女たちで、彼女たちが動く度にゲンナリさせられる。夫の大昔の過ちと25年間の結婚生活を天秤にかける妻。やることはやっているのにプロポーズまでした男に「友達」という言葉をあっさり投げ掛ける娘。行動の一場面だけを受け取って過剰に責め立てるその友人。その身勝手さに無視を決め込んで、むしろ常識的な考えだと言い包める手口に閉口する。男たちはあっさり言い負かされる。

 本当に男たちには同情する。もちろん彼らにも非はある。しかし、見逃してはいけないのは、語りの根底に「男は女の気持ちが分からない」という、酷く浅い思い込みが敷かれている点だ。そのせいでヤツらがあんぽんたんに見える。なぜどいつもこいつも女に言われるままなんだ。そんなのは優しさでも強さでも、もちろん人間らしさでもない。

 状況を打破するのが「病」というのが決定的にチープだ。どの問題も前進することなく(まあ、前進しようにもできないくだらなさということもある)、でも「歌って踊って幸せだから、ま、いいか」としてまとめられる。バカみたい。

 肝心のミュージカル場面に白ける。歌や踊りが上手い役者が揃えられているものの(例外はピーター・ミュラン。何故?)、ライヴ感のない編集と撮影のせいで、カラオケショウの趣。歌声と口の動きが合っていない場面が多いのもどうなんだろう。楽曲の魅力が殺されている。

 それでも、老け込み方に驚かされるジェーン・ホロックスの上司役で、ジェイソン・フレミングが登場したのにはちょっと身を乗り出した。彼を初めて気に留めた「カーテンコール」(96年)を思い出したからだ。彼の美しい身のこなしをもっと観たかった。





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