男と女 真夜中のパリ

男と女 真夜中のパリ “After”

監督:ジェラルディーヌ・マニエ

出演:ジュリー・ガイエ、ラファエル・ペルソナーズ、ブリサ・ローシェ、
   バカリー・サンガレ、マリー・ジリ・ピエール

評価:★★




 女が雨除けのために入った寿司屋で、男と女は出会う。このときの女の態度がとんでもない。魚が苦手で、生は特に駄目。ピザが食べたいから、デリバリーを頼もうかしら。魚臭さを消したいと、禁煙なのに煙草に火をつける。店を陰気な食堂と形容する。はっ倒したろか…と思わず前のめりになるものの、どうやら男はそんな女に惚れたらしい。彼女を一晩中口説き続けるのだ。

 出会ったばかりの男女が行動を共にするというのは、まるで「恋人までの距離」(95年)みたいだ。大きな違いはフランス映画『男と女 真夜中のパリ』のふたりは、ある程度の人生経験を積んでいるという点か。ガキには分からない大人の掛け合いが見られるかもしれないという期待はしかし、あっさり裏切られる。ヌーヴェルヴァーグへの無意味な敬意が単なる気取りとして表れる。

 ふたりの一夜が子どもっぽいこと。警察をおちょくる。チンピラとじゃれ合う。犬と喧嘩。道端でダンス。クラブで言い合い。食い逃げ。自転車で浮遊。その合間合間に現実世界では、到底使えないような歯の浮くようなセリフが次々ぼそぼそ囁かれる。顔と顔が思い切り近づいた状態で。

 「一晩中あなたと過ごしたい」。「ふたりで旅に出よう。世界は広い」。「その眼差しが好きだ。俺に翼をくれる」。スタイルばかりで中身が伴わない昨今のフランス映画の典型としか言いようがない。名作と呼ばれるヌーヴェルバーグの一連の作品に出てきた男女の身体からは、真っ赤な血が流れることがはっきり伝わってきた。それと較べるのは酷か。ここに出てくる男女から伝わることと言ったら、彼らが自分大好き人間で、己を憐れむことが趣味ということだけだ。人生観も含め、幼いのが気恥ずかしい。

 ラファエル・ペルソナーズは相変わらずジョン・ステイモスに似ているけれど、今回は少々B級俳優ジャスティン・チャットウィンの匂いも感じた。役柄が安いせいだろうか。某ゴシップで有名なジュリー・ガイエは、ジュリアン・ムーアの輪郭にレイトン・ミースターのパーツを乗せた印象。高飛車な態度は似合っていた。

 終始気取りが鼻につく中、唯一感心したのはガイエがピザを食うショットだ。「食う」なんて書くと品がないようだけれど、まさしくそれがぴったりの食い方。前々から思っていた。ヨーロッパの人々は食い方が豪快だ。何と言うか、セックスで相手を求めるように食べ物を食う。日本語をつけるなら、「ガツガツ」という擬態語がぴったり。それでいて、ガサツに映らない。獣を思わせるその姿に、妙にそそられる。





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