複製された男

複製された男 “Enemy”

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

監督:ジェイク・ギレンホール、メラニー・ロラン、サラ・ガドン、
   イザベラ・ロッセリーニ、ジョシュア・ピース、ティム・ポスト、
   ケダー・ブラウン、ダリル・ディン

評価:★★★




 俳優が一人二役を演じる映画はあまり好きではない。特に同じ画面に入るのが嫌だ。大抵の場合、設定は双子になるのだけど、どれだけ自然な特殊効果があっても、現実の双子にはない違和感がつきまとう。作り手の画作りへの自信が不信感を生むこともある。その点、『複製された男』は悪くない。そっくりの他人を登場させながら、トリッキーな画面作りで得意になることがない(実はそれもまたポイントになっている)。

 ドッペルゲンガー物をミステリー仕立てで描いてはいるものの、その真相がどこにあるのか、頭を使うことに集中するのは賢明ではないだろう。冒頭ハイヒールに踏みつけられそうになるクモを筆頭に、様々な解釈の余地が残されているけれど、細部が描き込まれているとは言い難い。

 思わせぶりが過ぎる。やけに勿体ぶっている。イライラするかもしれない。でもそれこそが、この映画の命ではないか。説明というものを極力排除して、不可思議な状況に追い込まれた主人公に対する問い掛けが、静謐さに貫かれた画面に淡々と焼きつけられていく。黄色がかったそれに、緊張感と吸引力がある。

 画面を補助するのは、編集の技だ。ボケーっと眺めていては見過ごしてしまうかもしれない不自然な場面転換や言動が散りばめられる。編集によりそれを自在に操っている印象だ。時に前のめりになりながら、時に後ろによろけながら。中毒性はここから来ている。

 もちろんジェイク・ギレンホールが良い。メイクと衣装はほとんど差がないままに、ふたりの人間の溝を悟らせる。まだどんな話なのか明らかになっていない冒頭から、きっちり演じ分けられているのに注目だ。髭をクマ風に生やすとハヴィエル・バルデム、その状態でサングラスをかけるとホアキン・フェニックスに似ているのは新発見。

 90分にまとめられているのは嬉しいところ。ただ、メラニー・ロランとサラ・ガドン、ふたりの女優の動かし方はもっと練っても良かった。謎解きのコマのような役回りしか与えられていない。下手に動かすと詰めていない細部が露になるか。良くも悪くもムードが重視された映画ということだろう。





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