エスケイプ・フロム・トゥモロー

エスケイプ・フロム・トゥモロー “Escape from Tomorrow”

監督:ランディ・ムーア

出演:ロイ・エイブラムソン、エレナ・シューバー、カテリン・ロドリゲス、
   ジャック・ダルトン、アリソン・リーズ=テイラー

評価:★★




 愛を凝視すると裏側に憎しみがちらつく。愛らしいはずの人形の無表情が気になって仕方ない。夢を語ってもその大半は挫折に打ちのめされるものだ。天使のような子どもは時に何と残酷な言動をやってのけるのだろう。この世に完全なる楽園は決して存在しない。

 そんなわけで『エスケイプ・フロム・トゥモロー』はディズニーランドに狙いを定める。ミッキーマウスやティガー、プーさんが戯れるその空間は老若男女から愛されている…ということになっている。けれどその煌びやかな外観の裏側には大人の事情というやつが隠れているわけで、でもそれが当たり前だ。朝を迎えた直後、電話で解雇を告げられた主人公は、その表裏の裂け目に堕ちていく。

 売りは主人公の悪夢だ。なのに、これがありきたりだ。目に入る物が歪んで見えたり恐ろしい何かに化けたり、ショッキングなセリフを突きつけられたり、奇人変人に気に入られたり…。幻覚という言葉で簡単に済ませられそうな見せ方に終始する。デヴィッド・リンチ的世界観を目指している気配もあるというのに。

 終幕になってようやく狂気がぶっ飛んだものに変態を遂げるものの、これはほとんどナンセンス・コメディの世界であり、毛穴に沁み込むような、肌にまとわりつくような、目を突き刺すような、後を引くそれとは言い難い。低予算を補うべき想像力が薄っぺらな不幸。

 フランス人少女二人組を別世界への案内人に仕立て上げるのは悪くないのに(「ふしぎの国のアリス」を連想)、中年男である主人公の彼女たちへの執着が、スケベ心以外と密着しないのが無念だ。胸毛の生え方がだらしくなく、脂肪がたっぷり乗っかった腹が暑苦しい中年オヤジの性欲なんぞ繰り返し見せて、何になるのか分からない。女の尻や胸の谷間を追いかけることに全力を尽くすだけだなんて、虚しいだけじゃないか(極めて正直という見方もできるが)。

 現代的な「テーマパーク」を舞台にしたことへの限界を感じるとするのは言い過ぎか。目の付け所は悪くないのに、機械的な美徳が散りばめられた舞台に呑まれたかもしれない。江戸川乱歩の小説に出てくる見世物小屋やからくり屋敷に通じる妖気が発散される場所を探すべきだった。ディズニーが強引にふりまく「陽」に負けた映画だろう。この王国では結局、その主が有利なのだ。





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