マレフィセント

マレフィセント “Maleficent”

監督:ロバート・ストロンバーグ

出演:アンジェリーナ・ジョリー、エル・ファニング、
   シャールト・コプリー、サム・ライリー、イメルダ・スタウントン、
   ジュノー・テンプル、レスリー・マンヴィル、ブレントン・スウェイツ

評価:★★★




 馴染み深いお伽噺・童話の新解釈実写映画化は、すっかりハリウッドのトレンドだ。悪の女王役を人気スターが演じるのが常で、「眠れる森の美女」をベースにした『マレフィセント』ではアンジェリーナ・ジョリーがタイトルロールに扮する。何と言うか、役柄に完璧にハマるところが容易に想像できるジョリーである。

 まず、ジョリーのコスチュームを避けては通れない。おそらく悪魔のそれを意識したのだろうけれど(ヤギを思わせるところもある)、こちらの精神年齢が幼いゆえか、我が日本国が誇るドロンジョ様を連想せずにはいられない。そもそもドロンジョのファッションは何なんだという気もするけれど、とにかく角と黒の組み合わせが恐ろしさよりも可笑しさを強調するのだ。仮装パーティはどこ。

 しかし、それ以外はなるほどジョリーの、時に爬虫類的である美貌にフィットしている。すっきりと美しい鼻筋。赤がぽってりと乗っかった分厚い唇。アイシャドウが映える妖気ある目周り。黒の魔女ドレス(妖精だけど)にも何の違和感もない。最も重要なのは最近のジョリーがこちらが健康を気にしてしまうほどに痩せこけていることで、そのせいで高い頬骨がやたら目立つ。それを利用しない手はないと、化粧も頬骨にポイントを置く。

 昨今のお伽噺映画とのいちばんの違いは、物語の視点が悪役であるマレフィセントからのそれに絞られていること。オーロラ姫にかける16歳になったら永遠の眠りにつくという呪いは邪悪な行為に間違いない。しかし、その根底には愛情の変態が隠れていることが丁寧に探られる。マレフィセントは勧善懲悪の世界では生きていない。

 ディズニー映画じゃなければ良かった。せっかく大胆な解釈ができる話に再構築されているのに、その丁寧で分かりやすい再提示が、子ども向けにまとめられる。マレフィセントの少女時代から順番に描かれるため、彼女は完全に同情される存在だ。哀れで気の毒で、でも愛情深いことが隠せなくて…。呪いをかけたのは冷静さを欠いていたけれど、その他の行為はどんな意地悪なセリフを吐いても優しさを隠せない。オーロラを見守る目は、完全に母のそれではないか。

 勧善懲悪の世界では生きていないマレフィセントはしかし、結局悪役とは大きくかけ離れた「善」なる存在だ。呪いを後悔するし、身を挺してオーロラを助けようとする。これは全くつまらない事態だ。マレフィセントの中でせめぎ合う「善」と「悪」を映像化することを放棄していると取られても仕方ない。最も旨みのあるところに突っ込まないでどうする。

 …にも関わらず、マレフィセントに感情移入する。人が人に抱く愛情の正体をジョリーが的確に捉えているからだろう。滑稽な角に邪魔されながら、それでもジョリーの魅せる愛情は揺るがない。血の繋がりなど大したものではない。

 オーロラを演じるエル・ファニングはミドルティーンに成長。未だに赤い頬が似合う脅威の童顔ぶり。もう少しでおたふく顔なのに、ガーリーな佇まいが可憐だ。ジョリーとの対比も良い。ジョリーの右腕となるカラスに扮したサム・ライリーは、何とファンタジー顔だったのか、顔のパーツが中央に寄り気味の異形美を発散している。

 問題はシャールト・コプリーだ。マレフィセントのかつての想い人を演じるには、老け過ぎだし、何より笑いが入り込む隙を拒否したシリアス演技なのが嫌だ。この映画は基本的にコメディなのに、コプリーが出てくると画面が辛気臭くなる。良い俳優なのに、この映画といい、「オールド・ボーイ」(13年)といい、ハリウッドは使い方を間違えている。





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